n次元正軸体には外接球と内接球以外にも各種中接球があります.
頂点を通るもの(外接球):r=1
辺の中点を通るもの:r=1/√2
面の中心を通るもの:r=1/√3
3次元面面の中心を通るもの:r=1/√4
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n−1次元面の中心を通るもの(内接球):r=1/√n
それらとn次元切頂八面体の体積を比較することは意味があります.
たとえば,内接球の場合の結果が
n!/n^n≒2(π/8)^n〜√(2n/π)(π/8)^n
であったのですが,どれがスターリングの公式をもっともよく近似するかについてはまだ検討していませんでした.今回のコラムでは,やり残した問題を片づけたいと思います.
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正軸体の中接球の体積
π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n
とn次元切頂八面体の体積
1/2・(2/n)^n・2^n
の大小比較を行うが,ここでは偶数次元の場合(n=2k)だけを扱うことにする.
1/2・(2/n)^n・2^n=1/2・{1/k}^2k・2^2k
π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n=π^k/k!・r^2k
したがって,
r^2k≒k!/2・(2/k√π)^2k
r^2≒(k!/2)^1/k・4/πk^2=((n/2)!/2)^2/n・16/πn^2
となるような中接球がbest fitすることになる.
たとえば,内接球(r^2=1/n)であれば,
((n/2)!/2)^-2/nπn^2/16=n
中接球(r^2=1/(n−1))であれば,
((n/2)!/2)^-2/nπn^2/16=n−1
を満たすn付近でbest fitするが,中接球(r^2=1/(n−j))を考えると,n→∞になるにつれて
((n/2)!/2)^-2/nπn^2/16=n−j
((n/2)!/2)^-2/nπn/16=(n−j)/n=(1−j/n)
((n/2)!/2)^-2(πn/16)^n=(1−j/n)^n→exp(−j)
であるから,
−j→−2log((n/2)!/2)+nlog(πn/16)
(n/2)!→√(πn)(n/2)^n/2exp(−n/2)
より
−j→−log(πn)−nlog(n/2)+n+2log2+nlog(πn/16)=nlog(πe/8)+log(4/πn)=0.0652875n+0.241565−logn
に近づいていくのである.
これで,内接球(r^2=1/n,j=0)が必ずしも最適もののではないことが明らかになったが,図形的な方法では限界があるとはいえ,
n!/n^n≒2(π/8)^n〜√(2n/π)(π/8)^n
は面白い結果と思う.
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