平行体の体積は行列式(グラミアン)で与えられる.ゾノトープの体積は平行体に分解して,平行体の体積がグラミアンで与えられることを用いればよい.
とはいえ,置換多面体およびその2^n胞体系についての効率的な体積計算法は十中八九ないと思われる.地道に計算を続行するしかない.正軸体の場合は省略して,正単体の場合の計算方法だけを述べると以下のようになる.
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【1】正単体の基本単体の切断
n次元正単体はn+1次元空間内のn+1個の単位点(1つだけ座標が1で他が0である点)
V1(1,0,・・・,0,0)
V2(0,1,・・・,0,0)
・・・・・・・・・・・・・・
Vn+1(0,0,・・・,0,1)
から生成される.これらの頂点間距離は√2である.
その際,0次元面〜n次元面の中心は
{V1,V2,・・・,Vr}
から生成されるので,
P0(1,0,0,・・・,0)
P1(1/2,1/2,0,・・・,0)
P2(1/3,1/3,1/3,・・・,0)
Pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,0)
Pn(1/(n+1),1/(n+1),・・・,1/(n+1))
原始的平行多面体の元素を求めるには,n次元正単体の基本単体を辺に垂直なn次元超平面で切断すればよいことがわかるだろう.そして,最終的に頂点となるのはS=n(n+1)/2として
Q=(n/S,(n−1)/S,(n−2)/S,・・・,0)
である.
PnP0=(1−1/(n+1),−1/(n+1),・・・,−1/(n+1))
PnP1=(1/2−1/(n+1),1/2−1/(n+1),−1/(n+1),・・・,−1/(n+1))
PnPn-2=(1/(n−1)−1/(n+1),・・・,−1/(n+1),−1/(n+1))
PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るから,この超平面をa・x=cで表すと
c=n/2S
PnP1に垂直なn次元超平面では
c=(n−1)/2S
PnPn-2に垂直なn次元超平面では
c=2/2S
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るから,この超平面をa・x=cで表すと
c=n/2S
であることは前述したとおりであるが,この超平面は点P1は通らない.また,この超平面と辺Pn-1P0との交点は
Pn-1P0=(1−1/n,−1/n,・・・,−1/n,0)
より,
xn+1=0
(x1−1)/(1/n−1)=x2/(1/n)=・・=xn/(1/n)=k
を
(1−1/(n+1))x1−1/(n+1)(x2+・・+xn+1)=n/2S
に代入すると求めることができる.
具体的には計算しないが,この操作によって,基本単体の各辺とはPn-1Pnを除くn箇所で交わることになる.これらと中心を結ぶベクトルを{v1,・・・,vn},点Qと中心を結ぶベクトルをv0とする.
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【2】体積とグラミアン
2つのベクトルa↑,b↑を基底とする平行体(平行四辺形)の面積は,
S^2=|a↑|^2|b↑|^2−(a↑・b↑)^2
=|a↑・a↑ a↑・b↑|
|b↑・a↑ b↑・b↑|
同様に,平行六面体の体積は
V^2=|a↑・a↑ a↑・b↑ a↑・c↑|
|b↑・a↑ b↑・b↑ b↑・c↑|
|c↑・a↑ c↑・b↑ c↑・c↑|
で与えられます.
これらのように,内積の行列式で定義される行列式をグラムの行列式(グラミアン)といいます.平行体の面積・体積はグラミアンの平方根に等しくなるというわけです.
また,座標を使って表せば,n+1個の点の座標に(1,1,1,・・・,1)を加えて作られる(n+1)次の行列式の絶対値になります.
|S|=|1 x1 y1| |V|=|1 x1 y1 z1|
|1 x2 y2| |1 x2 y2 z2|
|1 x3 y3| |1 x3 y3 z3|
|1 x4 y4 z4|
原点が含まれるときは,
|S|=|x1 y1| |V|=|x1 y1 z1|
|x2 y2| |x2 y2 z2|
|x3 y3 z3|
のように展開されます.
これらはそれぞれn次元単体の体積のn!倍になりますから,三角形面積,四面体の体積は,
S’=S/2
V’=V/6
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
v0を中心とするベクトル配置V={v0,v1,・・・,vn}に対して,その体積は(n+1,n)個の項をもつ
vol(V)=1/n!・Σ|det(v0,・・・,vr)|
で与えられる.
置換多面体ではこの(n+1)!倍
(n+1)・Σ|det(v0,・・・,vr)|
2^n胞体系では2^nn!倍
2^n・Σ|det(v0,・・・,vr)|
が求める体積となる.
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