(その5)では,偶数次元の正軸体の内接球と切頂正軸体の体積比較によって
n!/n^n〜2(π/8)^n
が得られたが,さらにπe=8,539・・・より,
n!/n^n〜2(1/e)^n
が示される.
ここまでくればスターリングの公式
n!/n^n 〜 √(2πn)/e^n
の√nのオーダーを図形的に得る方法を考えたいものである.そこで,奇数次元(n=2k+1)の場合の正軸体の内接球と切頂正軸体の体積比較を考えることにする.
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π^(n/2)/Γ(n/2+1)=π^(k+1/2)/Γ((2k+3)/2)
=π^(k+1/2)/{(2k+1)/2・(2k−1)/2・・・√π)
=(2π)^k/(2k+1)!!
=(4π)^kk!/(2k+1)!
また,内接球の半径は1/√nであるから,
1/n^n/2=1/(2k+1)^(k+1/2)
π^(n/2)/Γ(n/2+1)・1/n^n/2=(4π)^kk!/(2k+1)!(2k+1)^(k+1/2)
一方,n次元切頂八面体の体積は
1/2・(2/n)^n・2^n=2^4k+1/(2k+1)^2k+1
であるから,
(2k+1)!/k!(2k+1)^kと(π/4)^k(2k+1)^1/2/2
の大小を比較することになるが,
(k+1)/(2k+1)・(k+2)/(2k+1)・・・(2k+1)/(2k+1)〜(π/4)^k(2k+1)^1/2/2=(π/4)^(n-1)/2・n^1/2/2・・・・・(1)
となって,√nのオーダーが得られていることになる.
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(その5)で奇数次元の場合を考えなかったのは,図形的証明ではウォリスの公式
√π〜(n!)^22^2n/(2n)!√n
√nπ〜(n!)^22^2n/(2n)!
を禁じ手としたからであるが,(その2)の初等的証明でもウォリスの公式を用いており,禁じ手ともいってられないであろう.
π^(n/2)/Γ(n/2+1)・1/n^n/2=(4π)^kk!/(2k+1)!(2k+1)^(k+1/2)
=(4π)^kk!/(2k)!(2k+1)^(k+3/2)
に対して,ウォリスの公式を適用すると
=π^k(πk)^1/2/k!(2k+1)^(k+3/2)
これと,n次元切頂八面体の体積の
1/2・(2/n)^n・2^n=2^4k+1/(2k+1)^2k+1
大小比較では,
k!/(2k+1)^kと(π/16)^k(πk)^1/2/2(2k+1)^1/2
の比較になるが,
1/(2k+1)・2/(2k+1)・・・k/(2k+1)≦(π/16)^k(πk)^1/2/2(2k+1)^1/2〜(π/16)^(n-1)/2((n−1)π/2)^1/2/2n^1/2・・・・・(2)
となる.
(1)(2)をかけ合わせると
n!/n^n〜(π/8)^(n-1)((n−1)π/2)^1/2/4=(π/8)^n(2(n−1)/π)^1/2
〜√(2n/π)(π/8)^n
となって,近似度が向上する.
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