■スターリング型不等式の証明と漸近評価(その2)

 nを連続変数とみて,ガンマ関数で補間すると

  2/n!=2/Γ(n+1)

ジガンマ関数をφで表すことにすると,その微分は

  −2φ(n+1)/Γ(n+1)

 一方,(2/n)^nの微分は

  (2/n)^n(log2−1−logn)=(2/n)^nlog(2/en)

として解析的に解く方法もあるとは思うが,もう少しこれまでの方法にこだわってみたい.

===================================

  2/n!≧(2/n)^n

  n!/n^n≦1/2^n-1

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

であることを証明するのに,相加平均・相乗平均不等式を適用すると

  左辺≦(Σk/n^2)^n=((n+1)/2n)^n=1/2^n(1+1/n)^n

 ここで,

  (1+1/n)^n

は増加数列であることがいえるので

  左辺≦e/2^n

となって,

  左辺≦1/2^n-1

までもう一息である.

 相加平均・相乗平均不等式を適用したところにロスがあることは確かであろうと考えていたのだが,別の箇所で勘違いを発見した.(1+1/n)^nの最大値でなく,最小値が問題になるのである.

  2≦(1+1/n)^n≦e

したがって,

  左辺≦2/2^n=1/2^n-1

===================================

[補]ポリガンマ関数

 ガンマ関数の対数微分であるジガンマ関数φ(x)は

  φ(x)=d/dx{logΓ(x)}=Γ'(x)/Γ(x)

で定義されます.また,その逐次導関数φ’(x),φ”(x),・・・,すなわち,トリガンマ関数,テトラガンマ関数,ペンタガンマ関数などを総称してポリガンマ関数と呼びます.

===================================