■スターリング型不等式の証明と漸近評価

 n次元正軸体の切断による体積より,不等式

  2/n!≧(2/n)^n

が成り立つことがわかっている.

  2^(n-1)≦n!≦k^(n-1)

より,

  2/k^(n-1)≦2/n!≦2/2^(n-1)=1/2^(n-2)

のような上界・下界評価では粗すぎる.もっと正確な近似が必要であることがわかるだろう.

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【1】証明?

  n!≦2(n/2)^n

  n!/n^n≦1/2^n-1

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

であることを証明すればよい.

 左辺に対して,相加平均・相乗平均不等式を適用すると

  左辺≦(Σk/n^2)^n=((n+1)/2n)^n=1/2^n(1+1/n)^n

 ここで(1+1/n)^n<eより,

  左辺≦e/2^n

となって,

  左辺≦1/2^n-1

までもう一息である.

 スターリングの公式の漸近評価の項で述べた

  e(n/e)^n≦n!≦en(n/e)^n

が成り立つので,

  (n/e)^n/e≧1/n!≧(e/n)^n/en

が使えるかもしれないが,次回の宿題としたい.

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【2】漸近評価

  v1/(v1+v2)=(2/n!−(2/n)^n)/(2/n!)

 =1−n!/n^n・2^n-1

 階乗n!の近似値を与える公式として有名なスターリングの公式があります.

  n! 〜 √(2πn)n^ne^(-n)

スターリングの公式では,n=8のとき相対誤差は約1%ですが,nが大きくなるほど相対誤差は小さくなります.

 以上により,

  1−n!/n^n・2^n-1〜1−√(2πn)e^(-n)・2^n-1〜1

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