■n次元の立方体と直角三角錐(その58)

[1]正軸体の基本単体

  p0(1,0,・・・,0)

  p1(1/2,1/2,0,・・・,0)

  p2(1/3,1/3,1/3,0,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,1/n)

  pn(0,0,・・・,0)

[2]超立方体の基本単体

  p0(1,0,・・・,0)

  p1(1,1,0,・・・,0)

  p2(1,1,1,0,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  pn-1(1,1,1,・・・,0)

  pn(1,1,・・・,1)

に対して,

  v1:正軸体の基本単体の切り落とし部分の体積

  v2:正軸体の基本単体の切断体

  v3:超立方体の基本単体の切断体(二等分体)

の体積を求めてみる.

 基本単体数をg=2^n・n!とおくと,

  (v1+v2)g/2^n=1/n!

  v2・2g/2^n=(2/n)^n

  v3・2g/2^n=1

より,

  v1:v2:v3=2/n!−(2/n)^n:(2/n)^n:1

 なお,スターリングの公式の漸近評価の項で述べる

  e(n/e)^n<n!<en(n/e)^n

が成り立つので,

  2/n!−(2/n)^n≧0

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[補]階乗の漸近評価(スターリングの公式)

 階乗n!の近似値を与える公式として有名なスターリングの公式があります.

  n! 〜 √(2πn)n^ne^(-n)

スターリングの公式では,n=8のとき相対誤差は約1%ですが,nが大きくなるほど相対誤差は小さくなります.

 まず,スターリングの公式を誘導してみましょう.

  logn!=log1+log2+・・・+logn

       =Σlogx

 ここで,y=logxのグラフを幅が1の長方形に分割していくと,xが十分大きければ相対的に和の間隔が小さくなるので,和は積分に置き換えられます.

  Σlogx≒∫(1,n)logtdt

 logxの原始関数は置換積分よりxlogx−x+Cと計算され,区間[1,n]ですから,

  ∫(1,n)logtdt=nlogn−n+1

となります.

  log(n−1)!<∫(1,n)logtdt<logn!

より,n!の下からの評価は

  ∫(1,n)logtdt<logn!

したがって,

  n!>exp(nlogn−n+1)=en^ne^(-n)=e(n/e)^n

が得られます.

 また,上からの評価は

  logn!<∫(1,n+1)logtdt

より,

  n!<exp((n+1)log(n+1)−n)=(n+1)^(n+1)/e^n

したがって,

  n!=n(n−1)!<nexp(nlogn−n+1)=en(n/e)^n

が得られます.

  e(n/e)^n<n!<en(n/e)^n

 ここで,スターリングの公式

  n! 〜 √(2πn)(n/e)^n

で与えられるような漸近挙動を得るには,もっと注意深い解析が必要になることがわかりしたますが,それは別の機会に譲ることにして,

  e<√(2πn)<en

より,ここでは,スターリングの公式が上下の評価式の中間に位置することだけ指摘しておきます.

  e(n/e)^n<√(2πn)(n/e)^n<en(n/e)^n

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