(その49)に引き続き,一松信先生からお手紙を頂いたので紹介したい.
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(その49)では意図的に特定の頂点を通らないように選びましたから,そういう制限を除けば
[1]n次元立方体の基本単体の切断体
[2]n次元正単体の基本単体の切断体
はプロポーションは異なるが,いずれも胞数(n+2)の多胞体である(2次元では3角形,3次元では[1][2]は同形となる)
という形も生ずると思います.
要は切半体というとき,超立方体の場合のように,偶数次元で中間の次元の頂点(胞の中心)を通るようにするか,それともそういった状況を考えず(どうせ次元に対する対称性(相反性)は単体のときはないとして)体積を2分するように切半するかで形は変わります.
ところで,一般にn次元単体の表面のk次元要素は(n+1,k+1)個あります.これを頂点を通らない超平面で切って,その片側にm個(1≦m≦n−1)の頂点があるようにしたとき,その側にできる多胞体の要素の数は,次のような式になりました.
(n+2,k+2)−(n−m+2,k+2)−(m,k+2)
ただし(n,r)で,r<0またはr>nのときは0とする.
その反対側は
(n+2,k+2)−(m+1,k+2)−(n−m+1,k+2)
個ですが,これは上式でmをn−m+1に置き換えれば導かれます.証明は中間にある(k+1)次元胞が切り口のk次元胞の数であることに注意し,その側に残る要素数,切られて一部残るk次元胞の個数,切り口の個数を加え,二項係数の等式で簡易化する方法でできます.わざとまとめないで二項係数のまま書いておきます.
n次元正単体の基本単体の切半体がnに対してどのようなmに対応するのかを調べれば一般的な公式がわかると思います.
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