■n次元の立方体と直角三角錐(その49)

 (その41)(その42)の誤った結果に対して,一松信先生から疑念を感じるとのお手紙を頂いたので紹介したい.(その47)で訂正したが,その正否についても改めてよく考え直してみたい.

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 正単体の基本単体を切半すると限定すれば,話は簡単かもしれませんが,一般にn次元単体を切断した場合には,nが大きくなると色々な形を生じてしまいます.

 n=2のときは2辺を切るしかなく,一方は三角形,他は四角形に限ります.この切り方はn≧3でも可能で,ひとつの頂点からでる辺すべてを切った形です.一方は小さい単体,他方は角錐台で

  2n頂点,n(n+1)+n辺,

  n(n+1)(n−1)/6+n(n−1)/2面,・・・,n+2胞

です.

 しかし,n≧3では別の切り方が可能です.それは典型例としてはひとつの辺に平行な超平面で切った形です.それは双方とも,6頂点,5胞,9辺の立体で,位相的には角錐台と同相です.

 n≧4でも可能ですが,双方の形が違います.小さい方は8頂点,16辺,14面,6胞,大きい方は9頂点,18辺,15面,6胞です.小さい方(辺を含む方)をとれば,2n頂点,n+2胞です.

 しかし,nが大きくなるとさらに2,3,・・・[(n−1)/2]次元胞に平行な切り口が可能です.一例として,5次元でひとつの面(2次元胞)に平行な超平面で切った切り口を調べたところ,双方とも12頂点,30辺,34面,21個の3次元胞(四面体),7個の4次元胞となりました.胞の数がn+2であるのは同様ですが,頂点数12は(n^2−1)/2と解釈すべき値のように感じます.

 当面の正単体の基本単体を切った形がどのような切り方になるのかを正しく捕らえないと,一概にnが小さい場合からの類推では誤った結論を得かねないように感じます.

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