[Q]置換多面体のすべての辺が同じ長さになるのはどんなときだろうか?
に引き続き,
[Q]置換多面体の2(2^n−1)個のファセットを定めている不等式を求めよ
を考えてみたい.
原始的平行多面体は2ΣnCr=2(2^n−1)個のファセットで囲まれているが,ファセットを定めている不等式は,一般に
a・x=c
で与えられる.原点からファセットまでの距離は|c|/‖a‖となる.
一般に,超平面a・x−c=0と点x0の距離は
|a・x−c|/‖a‖
とくに,原点から超平面までの距離は
|c|/‖a‖
となる.
ところで,
[参]宮崎興二・石井源久・山口哲「高次元図形サイエンス」京都大学学術出版会
によれば,準正多胞体による4次元空間充填図形として
[a]正5胞体系{3,3,3}(1,1,1,1)・・・・30胞体
[b]正16胞体系{3,3,4}(1,1,1,0)・・・48胞体
があるというが,それらはa,cを変化させて図形を描いたものである.
私には正5胞体系{3,3,3}の描き方がわからなくて困っている.原点からでなく,正単体の中心から各頂点に向かうベクトルを考えれば原始的平行多面体が得られるのであろうか?
===================================
【1】正16胞体系{3,3,4}?
切半超平面x1+・・・+xn=n/2でもって切断した超立方体の基本単体の切半体は大変複雑な形になる.奇数次元の場合と偶数次元の場合とでも,中央の次元の頂点(4次元の場合(1,1,0,0))を通るか,それとも頂点を通らないかの差が生じる.いずれにせよ,基本単体の切半体からその形を構成するにはかなりの洞察力がいるようだ.
そこで,n次元の立方体の全頂点からは一斉に2^n個切り落として残る図形を考えてみよう.
(±1,±1,±1)を頂点とする立方体を,±x±y±z=3/2で表される8枚の平面で切った残りは,頂点の座標(±1,±1/2,0)の±のすべての組み合わせとすべての置換,合計24個を計算してみると,正確に切頂八面体になることがわかる.
(±1,±1,±1,±1)を頂点とする4次元超立方体を,±x±y±z±w=2で表される16枚の超平面で切った残りは,正24胞体になる.
しかし,これらはむしろ偶然の幸運であって,5次元以上ではかなり複雑な図形となるようである.
===================================
[補]超平面
aを行ベクトル,xを列ベクトルとして
a=(a1,・・・,an)
x’=(x1,・・・,xn)
また,実数をcとおくと,n次元ユークリッド空間の超平面は,
a・x’=c
で表すことができます.原点を通るときc=0です.
ベクトルaを超平面の法線ベクトルと呼びます.法線ベクトルはスカラー倍を除いて一意に定まります.aをその長さ‖a‖で割ったベクトルa/‖a‖を考えると,これは長さ1の単位法線ベクトルとなります.
また,aが単位法線ベクトル,すなわち,
a1^2+a2^2+・・・+an^2=1
が成り立つとき,cは原点から超平面へ引いた垂線の(符号のついた)長さとなります.
n=1なら方程式はax=bですから,超平面は点にほかなりません.n=2ならax+by=cとなり,超平面は直線,n=3ならax+by+cz=dですから,超平面は平面を表します.3次元空間内の超平面が普通の平面だし,2次元空間内の超平面は直線ですから,n次元空間の場合,n−1次元の線形多様体を超平面というのです.
===================================