【1】置換多面体の計量(その2)
[Q]すべての辺が同じ長さになるのはどんなときだろうか?
たとえば,3次元の場合,外接球(x^2+y^2+z^2=1)面上にx≧y≧z≧0なる点P(x,y,z)が与えられたとき,ずべての稜線の長さが等しくなるのは,点Pからz=0平面,x=y平面,y=z平面までの距離が等しいときである.
z=(x−y)/√2=(y−z)/√2
残りの点は点Pの鏡映から得ることができるが,これでできあがるのは26面体[4,6,8]であって,切頂八面体[4,6,6]ではない.
そこで,z=0として,点P(x,y,0)からx=y平面,y=z平面までの距離を等しくとると
(x−y)/√2=(y−z)/√2
→ x=2y,y=y,z=0 (切頂八面体)
点P(x,y,0)のx=y平面に対する鏡映は(y,x,0)であるから,辺の長さは
√2(x−y)=√2y
2次元の場合(正六角形)の計量は例外となるので,4次元の場合について述べるが,w=0として,点P(x,y,z,0)からx=y平面,y=z平面,z=w平面までの距離を等しくとると
(x−y)/√2=(y−z)/√2=(z−w)/√2
→ x=3z,y=2z,z=z,w=0
点P(x,y,z,0)のx=y平面に対する鏡映は(y,x,z,0)であるから,辺の長さは
√2(x−y)=√2z
結局,頂点座標が整数(0,1,2,3,・・・,n−1)の点の置換(n+1)!個からなる1辺の長さ√2の置換多面体(permutahedron)という族の多面体であることが理解されるのである.
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【2】置換多面体の元素を構成する
置換多面体は外接球をもち,すべての辺が同じ長さになる.
[1]重心から各頂点までの距離は
c^2=1^2+2^2+3^2+・・・+(n−1)^2=(n−1)n(2n−1)/6
重心から各胞心までの距離は次回の宿題とする.
[2]正軸体の基本単体数は2^n・n!で与えられるので,置換多面体の元素数も2^n・n!となる.また,n次元正軸体の境界多面体はn−1次元正単体なので,n+1次元正単体を使って元素を構成することはできないだろうか?
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【3】n次元正単体
たとえば,1次元の場合の2頂点を(−1/2,1/2)とし,n+1次元の場合,新しく加わった座標軸の正の側に,1辺の長さが1となるように新しい頂点をとり,中心が原点にくるように全体を平行移動すると,n+1個の頂点座標は
(1/2,−√3/6,−√6/12,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(−1/2,−√3/6,−√6/12,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(0,√3/3,−√6/12,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(0,0,√6/4,−1/2√10,・・・,−1/√2n(n+1))
(0,0,0,√(2/5),・・・,−1/√2n(n+1))
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(0,0,0,0,・・・,√(n/2(n+1)))
になるが,n次元正単体を最も手軽に作るには,全体を1次元上げて(n+1)次元空間内の単位点(1つだけ座標が1で他が0である点)(n+1)個から生成される点をとることである.なぜなら,n次元正単体の境界多面体はn−1次元正単体,n+1次元正単体の境界多面体はn次元正単体であるからである.
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正単体をn次元空間内で作ると一般に座標が無理数になるので,n次元正単体の代わりに,全体を1次元あげてn+1次元正単体の境界多面体をとると,計算上のメリットも得られる.たとえば,境界多面体はn+1次元空間内のn+1個の単位点(1つだけ座標が1で他が0である点)
V1(1,0,・・・,0,0)
V2(0,1,・・・,0,0)
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Vn+1(0,0,・・・,0,1)
から生成される.これらの頂点間距離は√2である.また,中心座標は
c(S)=(1/(n+1),・・・,1/(n+1))
また,隣接する2つのn−1次元胞A,Bは
A={V1,V2,・・・,Vn}
B={V2,・・・,Vn,Vn+1}
から生成されるものをとると,それぞれの中心は
c(A)=(1/n,1/n,・・・,1/n,0)
c(B)=(0,1/n,・・・,1/n,1/n)
c(S)からc(A)に向かうベクトルをu,c(S)からc(B)に向かうベクトルをvとすると,
1/n−1/(n+1)=1/n(n+1)
より,
u=(1/n(n+1),・・・,1/n(n+1),−1/(n+1))
v=(−1/(n+1),1/n(n+1),・・・,1/n(n+1))
したがって,面心間距離(角度)は
cosθ=u・v/|u||v|=−1/n
二面角はその補角であるから
cosδ=1/n
と計算される.
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