[参]宮崎興二・石井源久・山口哲「高次元図形サイエンス」京都大学学術出版会
によれば,準正多胞体による4次元空間充填図形として
[a]正5胞体系{3,3,3}(1,1,1,1)・・・・30胞体、
[b]正16胞体系{3,3,4}(1,1,1,0)・・・48胞体
があるという.
一般に,n次元平行多面体の面数は最大2(2^n−1)個,最小2n個となるが,各頂点の次数がnで面数が最大2(2^n−1)面の場合がプリミティブである(ミンコフスキーの定理).
したがって,[b]は空間充填図形であっても平行多面体ではない.[b]は3次元の立方体とケルビン立体を組み合わせたものであるが,ドローネーのリストからも外れている.
一方,4次元の場合,胞数が最大の30であるプリミティブが3つ
P30=10P14+20P8
P30=4P14+6P12+12P10+2P8+6P6
P30=18P12+6P8+6P6
あるが,たとえば,P30=10P14+20P8は3次元の六角柱P8と切頂八面体P14を組み合わせた30胞体で,4次元空間の1種類だけの多胞体による空間充填図形である.これは[a]に相当するものと思われる.
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ところで,n=4のとき,x1+・・・+xn≦n/2の領域はちょうどRPとなる.4次元立方体の奇頂点を中心として8個のRPを切り落とせば芯に正16胞体が残るが,偶頂点にも同じ操作を加えればどうなるのだろうか?
3次元の場合,3次元立方体の奇頂点を中心として4個のRTを切り落とせば芯に正四面体が残るが,偶頂点にも同じ操作を加えれば,それは正四面体の辺の中点を通ることから,立方体の双対である正八面体が得られる.n=4の場合のすべての頂点から16個のRPを取り除く操作によって,正16胞体の24本の辺の中点を通ることから,正24胞体が得られる.
すなわち,(±1,±1,±1,±1)を頂点とする4次元超立方体を,±x±y±z±w=2で表される16枚の超平面で切った残りは,正24胞体になるのである.
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【雑感】
しかし,3次元・4次元の場合はむしろ偶然の幸運であって,5次元以上ではかなり複雑な図形となるようである.
ともあれ,われわれが設計した4次元平行多面体の元素384個で正24胞体,768個で正8胞体を構成することができることはわかっているのだが,はたしてプリミティブ:P30=10P14+20P8は構成可能なのだろうか?
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