【1】幾何級数の収束
幾何級数
1/1+1/2+1/4+1/8+・・・
は2に収束します.無限回の計算は不可能ですからそのn次部分和Sn
Sn =1/1+1/2+1/4+1/8+・・・+1/2^(n-1)
を求めてみることにします.これを計算するにはうまい手があります.
Sn +1/2n-1
=1/1+1/2+1/4+1/8+・・・+1/2^(n-1)+1/2^(n-1)
=1/1+1/2+1/4+1/8+・・・+1/2^(n-2)
=・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
=1/1+1/2+1/4+1/8+1/8
=1/1+1/2+1/4+1/4
=1/1+1/2+1/2
=1+1
=2
よって,
Sn =2−1/2^(n-1)
nをどんどん大きくすると1/2^(n-1)はいくらでも小さくなり0に近づきますから,幾何級数は2に収束すると考えられます.この級数は各項の減少する割合が非常に大きいため単純な数に収束するのです.
一般化された幾何級数
g(s)=Σ1/s^n
は|s|>1のとき収束し,和g(s)=1/(s−1)をもつことはすぐに理解されます.
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【2】調和級数の発散
一方,調和級数
H∞=1/1+1/2+1/3+1/4+・・・
は,はじめの1000項で7.485,100万項で14.393,10億項で21.3,1兆項で28.2と非常にゆっくりとですが大きくなり,ついには無限大に発散します.調和級数が発散することは容易に示すことができます.
1/3+1/4>1/4+1/4=1/2
1/5+1/6+1/7+1/8>1/8+1/8+1/8+1/8=1/2
・・・・・
したがって,
H∞>1+1/2+1/2+1/2+1/2+・・・→∞
幾何級数と調和級数とは,だんだん小さくなる正の分数の足し算という点では似ていますが,後者ではちりが積もって山となるわけで,その無限の果てにあるものは全く非なるものです.
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調和級数Hn=Σ(1/n)は非常にゆっくりとですが大きくなり,ついには無限大に発散すること,すなわち,
1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n〜logn→∞
は容易に示すことができます.
奇数項だけを集めて作った級数は,調和級数よりも増加の速度は遅い者の合算します.
1/1 +1/3 +1/5 +1/7 +・・・
>1/2+1/4+1/6+1/8+・・・
=1/2(1/1+1/2+1/3+1/4+・・・)→∞
同様に,偶数項だけ集めて作った級数も収束せず無限大に発散します.
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【3】diet調和級数の収束
調和級数は発散しますが,分母に9が含まれている項をすべて取り除けば発散しなくなります.
J=(1/1+・・・+1/8)+(1/10+・・・1/18+1/20+・・・+1/88)+(1/100+・・・+1/888)+・・・
において,括弧内のすべての項を括弧内の最大項に置き換えると
1/1+・・・+1/8<1/1+・・・1/1<9/1
1/10+・・・1/18+1/20+・・・+1/88<1/10+・・・1/10<9^2/10
1/100+・・・+1/888<1/100+・・・1/100<9^3/10^2
J<9/1+9^2/10+9^3/10^2+・・・=9/(1−9/10)=90
したがって,9をすべて取り除いた調和級数は収束します.同様に,取り除く数がどれであっても収束するのですが,10%の数を取り除くと収束する・・・なにか奇異に感じられませんか?
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【4】すべての数の中に9が含まれる数はいくつあるか?
種明かしをしよう.1から10^nまで,数字xが含まれる数字の個数は(10^n−9^2),したがって,xが含まれる数字の比率は(10^n−9^n)/10^n=1−(9/10)^nで表される.
したがって,1から10までで10%,100までで19%,1000までで27%,10000までで34%であるが,桁数が大きくなるほどxが含まれる確率は高くなり,この後,急速に100%に近づく.10%でなく事実上ほとんどすべての数にxが含まれているといえるのである.
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