カンタベリー・パズルは「平面ハトメ返し」による分割合同なのですが,立体の2つの断片のどれかの辺を蝶番でつなぐことによって「立体蝶番返し」を考えることができます.菱形十二面体や切頂八面体はよく知られた空間充填立体ですが,実際,菱形十二面体と直方体の間の立体蝶番返し,切頂八面体と直方体の間の立体蝶番返しなど空間充填形同士の蝶番返しが作られています.
このような例として秋山仁先生は,菱形十二面体と直方体の間の立体ハトメ返し「キツネヘビ」,切頂八面体と直方体の間の立体ハトメ返し「ブタハム」など空間充填形同士のハトメ返しを作られ,講演ではそのような小道具を使って菱形十二面体,切頂八面体の体積を求めておられます.また,このとき多面体の形が変形するばかりでなく,菱形十二面体,切頂八面体の表面が直方体の内部に隠れることを利用して,黄色(キタキツネ)を緑(ヘビ)に変色させ,キタキツネが一瞬にしてヘビに飲み込まれる様子を表現しています.
切頂八面体を8等分して4個の立方体を作る,あるいは,菱形十二面体を12等分して2個の立方体を作ることは易しいのですがが,ここでは切頂八面体と菱形十二面体の間の等積変形を考えることにします.
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[参]Frederickson GN: Dissections: Plane and Fancy, Cambridge University Press, 1997
には,切頂八面体を12分割して立方体を作る,あるいは,菱形十二面体を12分割して立方体を作る方法が掲載されているが,両方の分割線を重ねて,切頂八面体と菱形十二面体の等積変形することは,実際には至難の業に思える.
そこで,まず体積の等しい菱形十二面体と切頂八面体の相貫体を設計してみることにした.以下の図は中川宏さんによるものであるが,重心から
菱形面までの距離=1
正方形面までの距離=1.12246
正六角形面までの距離=0.972081
として描いている.
三角錐と四角錘錘と屋根型は1点に会するように見えるが,実際は三角錐と四角錐が繋がっていて,屋根型は少し離れている.三角錐と四角錘の切り離し方によって形は変わってくるが,概三角錐8個と概四角錐6個をを屋根型12個に変形する問題となった.
参考までに,体積の等しい立方体と菱形十二面体,立方体と切頂八面体の相貫体の図を掲げる.重心から立方体の正方形面までの距離を1,
菱形面までの距離=1.12246
正方形面までの距離=1.25992
正六角形面までの距離=1.09112
として描いている.
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