■係数gkの整除性(その4)

 阪本ひろむ氏から(その2)の証明に対する感想が届いた.

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 貴兄のHPで「グノモンの定理」というのが引用されている.これはまさにユークリッド原論第二巻の中の定理のひとつのようだ.私は,ユークリッド原論第二巻は無用の長物としてこき下ろしたが,後世に応用される有用な定理を含んでいたわけだ.我が不明を恥じる次第である.

 しかし,第二巻がほかの巻と何の関連もなく,唐突で不自然な感じであり,ユークリッドが理論について未消化のままこの巻を執筆したことは確実だと思う.私の率直な感想として未完成,未消化という心証をもつのは,数式に直した場合,類似になる問題が何度も繰り返されているように思われるからだ.

 東大出版会のユークリッド関連の文献の解説には,第二巻は

(a)幾何学的な方法による代数学という説と(b)そうではないという説も提示されている.(a)説の場合,出現するのは長方形だげでいいはずなのだが,グノーモンとして平行四辺形も出現する.これが(a)説に対する大いなる疑問である.なお,東大出版会のエウクレエイデス全集(ユークリッド全集)の早期の完結を願っている.

 ファン・デル・ヴェルデンは第二巻をバビロニア起源の「幾何学的な代数」としている(みすず書房「数学の黎明」).また,シュプリンガー東京からユークリッド原論に関する解説書が出ているのに気がついたが,金もなくなってしまったし,ウェーブレット関連の書籍も注文してしまったので,当分読む機会はないだろう.もし,貴兄に図書館で見かけて読む機会があったら感想を聞かせてほしい.

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