gk=(k^2)!/1・2^2・・・k^k・(k+1)^k-1・・・(2k−1)
この式において,
g1=1,g2=2,g3=42,g4=24024
だが,gkが整数であることは決して自明ではなく,にわかには信じがたい.
そこで,この続きを阪本ひろむ氏に計算してもらったところ
g5=701149020
g6=1671643033734960
g7=475073684264389879228560
g8=22081374992701950398847674830857600
以降g100まで,整数であることが確認された.もはやこの式の整除性を疑うことはできまい.連続するk個の自然数の積はk!で割り切れることを使って証明してみたい.
連続するk個の自然数の積
n(n−1)・・・(n−k+1)
がk!で割り切れることは
n(n−1)・・・(n−k+1)/k!
が整数であることがいえればよいのであるが,
n(n−1)・・・(n−k+1)/k!=nCk
すなわち,組み合わせの総数=整数であるから明らかであろう.
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【1】項比
gk+1=((k+1)^2)!/1・2^2・・・k^k・(k+1)^k+1・(k+2)^k・・・(2k)^2・(2k+1)
であるから,項比は
gk+1/gk=((k+1)^2)!/(k^2)!・(k+1)^2・・・(2k)^2・(2k+1)
((k+1)^2)!/(k^2)!=(k^2+1)(k^2+2)・・・(k^2+2k+1)
には連続する2k+1個の自然数の積があるから(2k+1)!で割り切れる.
したがって,
(2k+1)!/(k+1)^2・・・(2k)^2・(2k+1)
=(2k)!/(k+1)^2・・・(2k)^2
ここで,
(2k)!=k!(k+1)(k+2)・・・(2k)
より,
(2k)!/(k+1)^2・・・(2k)^2
=k!/(k+1)(k+2)・・・(2k)
が整数になればよいのであるが,分子の
(k+1)(k+2)・・・(2k)
は連続するk個の自然数の積であるからk!で割り切れることより,整数にはならない.
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【2】項比によらずに
[1]では項比を計算したが,項比によらずに計算したとしてもうまくいかない.ここではそれを示しておきたい.失敗もまた勉強である.
gk=(k^2)!/1・2^2・・・k^k・(k+1)^k-1・・・(2k−1)
の分母は
連続する2k−1個の自然数の積:1・2・3・・・(2k−1)
連続する2k−3個の自然数の積:2・・・(2k−2)
連続する2k−5個の自然数の積:3・・・(2k−3)
連続する1個の自然数の積 :k
があるから,1!・3!・・・(2k−3)!・(2k−1)!で割り切れる.
一方,分子には連続するk^2個の自然数の積があり,それを
k^2=1+3+・・・+(2k−3)+(2k+1)
とk組の連続する奇数個の自然数の積に分割することができる.したがって, 1!・3!・・・(2k−3)!・(2k−1)!
で割り切れる.
これより,
1!・3!・・・(2k−3)!・(2k−1)!/分母
が整数になればよいのであるが,分母もまた
1!・3!・・・(2k−3)!・(2k−1)!
で割り切れることより,整数にはならない.
なお,分母は
(2k−1)!・(2k−2)!/1!・(2k−3)!/2!・・・(2k−k)!/(k−1)!
と変形されるから,
1!・3!・・・(2k−3)!・(2k−1)!/分母
=(2k−1)!・(2k−3)!・・・3!・1!/分母
=1/(2k−2)・2!/(2k−3)(2k−4)・3!/(2k−4)(2k−5)(2k−6)・・・
となって,ますます事態は混迷化する.
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【3】雑感
証明に無駄があることが確かである.もっと直接的に,
[1](k^2+1)(k^2+2)・・・(k^2+2k+1)には,(k+1)の倍数が2個以上,・・・,(2k)の倍数が2個以上,(2k+1)の倍数が1個以上ある
[2](k^2)!には,2の倍数が2個以上,・・・,kの倍数がk個以上,(k+1)の倍数が(k−1)個以上,・・・,(2k−1)の倍数が1個以上ある
とかを証明した方がよいのかもしれない.次回の宿題としたい.
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