π=3.141592653589・・・の近似値として有名なのが
22/7=3.142857142857・・・
355/113=3.141592920353・・・
である.前者は6桁で循環,後者は112桁で循環するが,πは無理数なので同じ数字の列が循環することはない.
===================================
【1】πの積分近似
1944年,ダルゼルがπと22/7を結びつける積分
∫(0,1)x^4(1−x)^4/(1+x^2)dx=22/7−π
という面白い公式を発見した.左辺の表現の対称性が見事である.
x^4(1−x)^4/(1+x^2)=x^6−4x^5+5x^4−4x^2+4−4/(1+x^2)
∫(0,1)(x^6−4x^5+5x^4−4x^2+4)dx=22/7
∫(0,1)4/(1+x^2)=π
さらに,2005年,ルーカスがπと355/113を結びつける積分
∫(0,1)x^8(1−x)^8(25+816x^2)/3164(1+x^2)dx=355/113−π
を見つけた.
===================================
【2】ガウスの円問題
原点を中心とした半径rの円の内部(境界を含む)にある整数点の個数をR(r)で表す.
R(10)=317 R(100)=31417
R(20)=1257 R(200)=125627
R(30)=2821 R(300)=282697
R(r)は円の面積の推定値を与える.
r R(r)/r^2 r R(r)/r^2
10 3.17 100 3.1417
20 3.1425 200 3.140725
30 3.134 300 3.14107
ガウスは
|R(r)−πr^2|<cr
を示したが,
|R(r)−πr^2|<cr^k
となるkの最小値を求める問題に一般化される.
シェルピンスキーはk≦2/3を証明し,ガウスのk=1を大きく改善した.ヴィノグラードフはk≦34/53,1963年に陳景潤はk≦24/37を,1990年にハクスリーはk≦46/73を得たが,シェルピンスキーの成果からほんのわずかしか進んでいない.
下の値は1915年,ハーディとランダウが与えたk=1/2と予想されている.同じ問題を3次元球についても考えることができる.→コラム「平面上の格子点」参照
===================================