■初等幾何の楽しみ(その20)

 正多角形の作図は円周等分問題という幾何学問題ですが,x^n−1=0という代数方程式の解と密接な関係にあります.正17角形(n=17)の場合,

  x^17−1=(x−1)(x^16+x^15+・・・・+x+1)=0

より,

  x=cos(2π/17)+isin(2π/17)

は16次方程式

  x^16+x^15+・・・・+x+1=0

の解となるのですが,複2次形式

  y=x+1/x

とおくことによって8次方程式に帰着されます.

 (その19)では,8次方程式

  256x^8−448x^6+240x^4−40x^2+1=128x^7−192x^5+80x^3−8x

から,x=cos(π/17)を明示的に求めることができなかったので,今回のコラムでは,

  x^16+x^15+・・・・+x+1=0

を解いて,その実部からcos(π/17)ではなくて,cos(2π/17)を求めることにしたいと思います.

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 ところが,Mathemakicaでは

  x^16+x^15+・・・・+x+1=0

の解が自動的に

  x=cos(2π/17)+isin(2π/17)

に変換されてしまい,+−×÷√の演算の組み合わせの形には戻らない(阪本ひろむ氏談).

 答を先にいうと,

  cos(2π/17)=1/16{−1+√17+√(34−2√17)+2√(17+3√17+√(170−26√17)−4√(34+2√17)}

が得られる.

 また,単位円に内接する正17角形の1辺の長さは

  √{(1−cos(2π/17))^2+sin^2(2π/17)}

 =√(2−2cos(2π/17))

 =1/4{34−2√17−2√(34−2√17)−4√(17+3√17+√(170−26√17)−4√(34+2√17))}

で与えられる.

 定規とコンパスで描ける図形は直線と円であるから,その作図は線分の長さの加減乗除と平方根をとる操作に相当する.すなわち,定規(直線)とコンパス(円)による作図は,たとえそれらを繰り返し用いたとしても+,−,×,÷,√なる5つの演算によって得られるものに限られている.前述したことは正17角形が定規とコンパスで作図可能な図形であることを示す.

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