阪本ひろむ氏いわく『作戦を変えて,変数の消去を試みた.しかし,最後のプロセスが数日かかっても終わらない.リソースモニターをみてみるとメモリはめいっぱい使っており,何らかの演算をしているのはわかる.しかし,これではほかに何もできない.マルチコアのパソコンを使っているとはいえ,ほかのプログラムが使えない.「徹夜」しているのはパソコンであって私ではないのだが,非常に疲れた.限界である.
パソコンもパワーアップしたし,Groebner基底,変数消去論の理論もすすんでいるから何とかなるとおもったが,もくろみ違いであった.メモリを増設して状況が改善するかどうかもわからない.そのようなわけで,今回は白旗をあげる.』
というわけで,この問題は打ち切り,気にかかった問題を解くことにしよう.
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【1】cos(π/7)
(その17)において,cos(π/7)が3次方程式:8x^3−4x^2−4x+1=0の解として得られることは初めて知った.
x=1/6{1+√7cos(1/3arctan3√3)+√21sin(1/3arctan3√3)}=0.900969
すぐに思いつくのは7倍角の公式
cos7θ=64cos^7θ−112cos^5+56cos^3−7cosθ
において,θ=π/7,cosθ=xとおくと
64x^7−112x^5+56x^3−7x=−1
7次方程式の解として得られるというものであるが,3次方程式に還元するうまい手があるのだろう.
たとえば,sin(π/10)を求めるのに,θ=π/10とおくと
5θ=π/2,3θ=π/2−2θ
より,
cos3θ=sin2θあるいはsin3θ=cos2θ
こうすれは5次方程式を解く必要はない.前者は
4cos^3θ−3cosθ=2sinθcosθ
4cos^2θ−3=2sinθ
4sin^2θ+2sinθ−1=0
より2次方程式に帰着する.
後者は
−4sin^3θ+3sinθ=1−2sin^2θ
となって,3次方程式が現れる.それでも
(sinθ−1)(4sin^2θ+2sinθ−1)=0
と因数分解すれは同じ2次方程式に到達する.
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θ=π/7,cosθ=xとおくと
7θ=π,4θ=π−3θ
より,
cos4θ=−cos3θあるいはsin4θ=sin3θ
前者は4次方程式
8cos^4θ−8cos^2θ+1=−4cos^3θ+3cosθ
後者は
8sinθcos^3θ−4sinθcosθ=−4sin^3θ+3sinθ
8cos^3θ−4cosθ=−4sin^2θ+3
8cos^3θ−4cosθ=4cos^2θ−1
より3次方程式:8x^3−4x^2−4x+1=0に帰着するというわけである.
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【2】cos(π/n)
前述したように,θ=π/n,x=cosθが解となる方程式は,一般にn次式になると考えることは誤りである.
[1]n=2mのとき
cosnθ=2cos^2mθ−1=−1
cosmθ=0はcosθのm次式となる.
[2]n=2m+1のとき
cosnθ=cosmθcos(m+1)θ−sinmθsin(m+1)θ1=−cos^2mθ−sin^2mθ=−1
ではしょうがないので,
cosθ=cos((m+1)θ−mθ)=cosmθcos(m+1)θ+sinmθsin(m+1)θ1=−cos^2mθ+sin^2mθ=1−2cos^2mθ
とおくと,xの2m次式
x=1−(xのm次式)^2
が得られる.たとえば,cos(π/7)の場合,6次式となるが,これではほとんどメリットがない.
[3]もしcos(π/n)が既知であるならば,cos(π/2n)は2次方程式からは芋づる式に求めることができる.
2cos^2(π/4)−1=cos(π/2)=0
2cos^2(π/8)−1=cos(π/4)=1/√2
2cos^2(π/16)−1=cos(π/8)
2cos^2(π/3)−1=cos(2π/3)=−1/2
2cos^2(π/6)−1=cos(π/3)=1/2
2cos^2(π/12)−1=cos(π/6)=√3/2
2cos^2(π/5)−1=cos(2π/5)=(√5−1)/4
2cos^2(π/10)−1=cos(π/5)=(√5+1)/4
2cos^2(π/20)−1=cos(π/10)
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