ポンスレーの定理は四角形に限らず,一般のn角形についても成り立つ.また,2つの円を2つの楕円ばかりか,どんな円錐曲線に置き換えても成立する.
(その10),(その11)において,解析幾何学を用いると
R^2−2Rr=d^2 (オイラーの定理)
2r^2(R^2+d^2)=(R^2−d^2)^2 (フースの定理)
は大学入試程度の問題に還元できることがわかった.
R^2−2Rr=d^2 (オイラーの定理)
2r^2(R^2+d^2)=(R^2−d^2)^2 (フースの定理)
に引き続き,フースは双心五角形,六角形,七角形,八角形に関する同様の公式も見つけているが,その論文(Nova Acta Petropol XIII, 1798)を入手するのは難しそうである.そこで,今回のコラムでは,解析幾何学を用いて,双心五角形,六角形,七角形,八角形,(九角形,十角形,・・・)の場合を扱ってみたい.
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【1】アルゴリズム
外接円:x^2+y^2=R^2
上の2点を(xk,yk),(xk+1,yk+1)とおく.
xk^2+yk^2=R^2
xk+1^2+yk+1^2=R^2
この2点を結ぶ直線:
y−yk=mk(x−xk),mk=(yk+1−yk)/(xk+1−xk)
が,
内接円:(x−d)^2+y^2=r^2
に接することから,判別式=0とおいて,
{d+mk(mkxk−yk)}^2−(1+mk^2){d^2+(mkxk−yk)^2−r^2}=0が得られる.
初期値(x0,y0)=(R,0)から始まって,(x1,y1),(x2,y2),・・・が満たす連立方程式を求める.
[1]xk+1=d−rとなるときの(R,r,d)の関係式を求める.
k=0(n=3)
k=1(n=5)
k=2(n=7)
k=3(n=9)
[2]xk+1=−R,yk+1=0となるときの(R,r,d)の関係式を求める.
k=1(n=4)
k=2(n=6)
k=3(n=8)
k=4(n=10)
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【2】確認
任意の凸n角形において,不等式
r/R≦cos(π/n)
等号は正n角形の場合にのみ成り立つ.d=0とおいたとき,
r/R=cos(π/n)
であれば,正解が得られていることが確認できる.
R^2−2Rr=d^2 (オイラーの定理)
2r^2(R^2+d^2)=(R^2−d^2)^2 (フースの定理)
はいわば「余弦定理」に相当するものであって,「ピタゴラスの定理」に相当する公式も存在する.それらはd=0とおいて,それぞれR=2r,R=√2rになる.
なお,
d<R−r
であるから
d/R<1−r/R=1−cos(π/n)
したがって,中心間距離dはnが大きくなるにつれて,次第に小さくなることがわかるだろう.
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【3】計算結果
阪本ひろむ氏にお願いして,インプリメントしてもらったのであるが,あまりにも高次の式・複雑な式になりすぎて,n=1の場合しかうまくいっていない.氏いわく「がんばってみるが,ひとえにグレブナー基底と消去論の勉強不足」
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