■初等幾何の楽しみ(その11)

 今回のコラムでは,双心四角形の外接円の半径R,内接円の半径r,中心を結ぶ線分の距離dの間に成り立つ関係式であるフースの双心四角形定理

  2r^2(R^2+d^2)=(R^2−d^2)^2

を示したい.

 双心四角形の2組の対辺上の内接円の接点を結ぶ線分は互いに直交するが,これも,どの点から始めても双心n角形が得られるというポンスレーの閉包定理から自然に得られる性質である.

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【1】フースの定理の証明

  外接円:x^2+y^2=R^2

  内接円:(x−d)^2+y^2=r^2

 どの点から始めても双心n角形が得られるというポンスレーの閉包定理を用いて,点(R,0)を通る直線をy=m(x−R)とおくと,この直線は内接円と接することから,

  (x−d)^2+m^2(x−R)^2=r^2

  (1+m^2)x^2−2(d+Rm)x+d^2−r^2+m^2R^2=0

D=0より,

  m^2=r^2/((R−d)^2−r2)

 また,点(−R,0)を通る直線をy=m’(x+R)とおくと,この直線は内接円と接することから,

  (x−d)^2+m’^2(x+R)^2=r^2

  (1+m^2)x^2−2(d−Rm)x+d^2−r^2+m^2R^2=0

D=0より,

  m’^2=r^2/((R+d)^2−r2)

 y=m(x−R)とy=m’(x+R)は直交することから,

  m^2・m’^2=1

を整理すると

  2r^2(R^2+d^2)=(R^2−d^2)^2

が得られる.

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