■デーン不変量と二面角の幾何学(その41)

 (その32)において,5次元以上の空間で,正n+1胞体と正2^n胞体の二面角が2直角にはなるのは,

  δ1+2δ2=360°

の場合に限られると書いたところ,一松信先生より

  3δ1+δ2=360°

ではどうかというご指摘を頂いた.

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  cosδ1=1/n,sinδ1=√(n^2−1)/n

  cosδ2=−(n−2)/n,sinδ2=2√(n−1)/n

  cos3δ1=(4−3n^2)/n^3

  sin3δ1=(4−n^2)√(n^2−1)/n^3

  cos(3δ1+δ2)=cos3δ1cosδ2−sin3δ1sinδ2==((4−3n^2)(n−2)−2(4−n^2)(n−1)√(n+1))/n^4=1

  n^4+3n^3−6n^2−4n+8=2(n^2−4)(n−1)√(n+1)

  n^2(n^3+n^2−4)^2=0

この整数解はn=0だけである.

  lδ1+mδ2=360°

となる(l,m)については

  (l,m)=(1,2),(3,1)

が考えられるところあるが,後者には整数解はない.他方,前者は8次元においてδ1+2δ2=360°となるが,2種の二胞角で,その和が360°になり,空間充填形を構成できるのは,n≧5のときは8次元の場合だけである.

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[補]阪本ひろむ氏に指摘されたことであるが,

  n^2(n^3+n^2−4)^2=0

は実数解(重根)

  n=1/3(−1+(53−6√78)^1/3+(53+6√78)^1/3)6

をもつ.しかし,それは

  n^4+3n^3−6n^2−4n+8=2(n^2−4)(n−1)√(n+1)

の解ではなく

  n^4+3n^3−6n^2−4n+8=−2(n^2−4)(n−1)√(n+1)

の解である.

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