■正60角形と正600角形

 コラム「正17角形と正18角形」では,正17角形と正18角形を描いて,すべての対角線を引いた.n=17のとき,はじめて交点数>2010,断片数>2010となることを示したかったからであるが,理由はそればかりではない.

 単位円に内接する正n角形の(辺も含め)すへての対角線の長さをdi,頂点数をv(=n)とすると,

  Σdi^2=v^2

すなわち,対角線の長さの平方和が頂点数の2乗になることを示したかったからである.

 この結果はnのパリティー(奇数か偶数か)によって違いを生じない.nが偶数か奇数かのケースにわける必要はなく,しかも,きわめて単純素朴であって,決して荘厳でいかめしいものではない.この美とエレガンス(気品)を鑑賞していただきたい.

 

 対角線の長さの平方和の計算は,n=3,4,6のときはともかくn=5のときは簡単ではないかもしれないが,困難というほどのものではない.

 n=17,18になると手に負えなくなる.n=60(時計の文字盤)ですべての対角線を描き入れるとほとんど黒一色に塗りつぶされる.n=600では完全にブラックアウトしてしまう.誰がこの対角線の長さの平方和を計算するだろうか?

 公式:Σdi^2=v^2の面白いところは,2次元図形だけでなくすべての次元で通用することである.すなわち,すべての次元において,単位球に内接する正多胞体のすべての辺と対角線の長さの平方和はv^2で与えられることになる.無理数でなく整数! この美とエレガンス!

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