3次元空間を埋め尽くす正多面体は立方体のみである.5次元以上の空間でもn次元立方体のみが空間充填図形となるのに対して,4次元空間の充填図形は多彩で正8胞体,正16胞体,正24胞体の3種類ある.そして,4次元空間においてのみ正多面体かつ平行多面体の元素であるRPと4次元超立方体の基本単体fsは接点をみせる.
基本単体16個(=384/24)でRPが構成できればよいのであるが,そうは問屋が卸さない.(その24)で構成した5頂点
q0(2,0,0,0)
q1(1,0,0,0)
q2(1,1,0,0)
q3(1,1/3,1/3,1/3)
q4(1,1/2,1/2,0)
よりなる単体(5胞体)をγ,(その2)(その25)で構成した7頂点
q0(0,0,0,0)
q1(1,0,0,0)
q2(1,1,0,0)
q3(1/2,1/2,1/2,1/2)
q4(1,1/3,1/3,1/3)
q5(2/3,2/3,2/3,0)
q6(1,1/2,1/2,0)
よりなる6胞体をβとすると,RPはβとγから構成されるのである.
しかし,βがさらに分割してγから組み立てられるとも限らないだろう.今回のコラムではそのことを検証してみたい.
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【1】体積からの検証
鏡像体も含め同形である場合に≡.同形かどうかはわからないが体積が等しい場合に=を用いることにすると,
4次元立方体≡384fs,4次元立方体≡24RP
RP=16fs
4次元立方体の1頂点の集まるfsの個数は
384/16=24fs
RP=24(β+γ)=16fs,β≡fs/2
より,
β=3γ
すなわち,βの体積はγの3培である.
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【2】辺からの検証
この関係は,立方体を陽馬3個,陽馬をテトラドロン3個に分割した状況によく似ている.それでは実際にγを3個組み合わせるとβが構成できるのであろうか?
γの辺の長さは
q0q1=1,q0q2=√2,q0q3=√(4/3),q0q4=√(3/2)
q1q2=1,q1q3=√(1/3),q1q4=√(1/2)
q2q3=√(2/3),q2q4=√(1/2)
q3q4=√(1/6)
βの辺の長さは
q0q1=1,q0q2=√2,q0q3=1,q0q4=√(4/3),q0q5=√(4/3),q0q6=√(3/2)
q1q2=1,q1q3=1,q1q4=√(1/3),q1q5=1,q1q6=√(1/2)
q2q3=1,q2q4=√(2/3),q2q5=√(2/3),q2q6=√(1/2)
q3q4=√(1/3),q3q5=√(1/3),q3q6=√(1/2)
q4q5=2/3,q4q6=√(1/6),q5q6=√(1/6)
たとえば,βのq4q5=2/3に注目すると,これはγをどのように組み合わせたとしても構成することができないことがわかる.結局,1個の単体γと1個の6胞体βを組み立て直せばRPになるが,これ以上分解して,ひとつの素片だけから組み立てようというのは無理であろう.
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