(その2)では,4次元立方体の基本単体
p0(0,0,0,0)
p1(1,0,0,0)
p2(1,1,0,0)
p3(1,1,1,0)
p4(1,1,1,1)
を対角線の中点
(1/2,1/2,1/2,・・・,1/2,1/2)
を通る超平面
x1+x2+x3+・・・+xn=2
で切断すると,4交点
(1/2,1/2,1/2,1/2)
(1,1/3,1/3,1/3)
(2/3,2/3,2/3,0)
(1,1/2,1/2,0)
が得られることを掲げた.
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【1】計量(辺の長さ)
x1+x2+x3+x4≦2の部分をとると,7頂点
q0(0,0,0,0)
q1(1,0,0,0)
q2(1,1,0,0)
q3(1/2,1/2,1/2,1/2)
q4(1,1/3,1/3,1/3)
q5(2/3,2/3,2/3,0)
q6(1,1/2,1/2,0)
が頂点となる.q2〜q6は超平面x1+x2+x3+x4=2上にある.これが768個で4次元立方体を組み立てることができる.
辺の長さは
q0q1=1,q0q2=√2,q0q3=1,q0q4=√(4/3),q0q5=√(4/3),q0q6=√(3/2)
q1q2=1,q1q3=1,q1q4=√(1/3),q1q5=1,q1q6=√(1/2)
q2q3=1,q2q4=√(2/3),q2q5=√(2/3),q2q6=√(1/2)
q3q4=√(1/3),q3q5=√(1/3),q3q6=√(1/2)
q4q5=2/3,q4q6=√(1/6),q5q6=√(1/6)
それに対して,x1+x2+x3+x4≧0の部分をとると,7頂点
q0(1,1,1,1)
q1(1,1,1,0)
q2(1,1,0,0)
q3(1/2,1/2,1/2,1/2)
q4(1,1/3,1/3,1/3)
q5(2/3,2/3,2/3,0)
q6(1,1/2,1/2,0)
が頂点となる.q2〜q6は超平面x1+x2+x3+x4=2上にある.辺の長さは
q0q1=1,q0q2=√2,q0q3=1,q0q4=√(4/3),q0q5=√(4/3),q0q6=√(3/2)
q1q2=1,q1q3=1,q1q4=1,q1q5=√(1/3),q1q6=√(1/2)
q2q3=1,q2q4=√(2/3),q2q5=√(2/3),q2q6=√(1/2)
q3q4=√(1/3),q3q5=√(1/3),q3q6=√(1/2)
q4q5=2/3,q4q6=√(1/6),q5q6=√(1/6)
となって辺の長さは変わらず,基本単体の2分割体になっていることがわかる.
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【2】半切体の形
一松信先生のご検討では4次元の超立方体の基本単体の半切体は6胞・14面・15辺・7頂点の立体であるとのことである.
(f0,f1,f2,f3)=(7,15,14,6)
いずれの場合も
q2(1,1,0,0)
q3(1/2,1/2,1/2,1/2)
q4(1,1/3,1/3,1/3)
q5(2/3,2/3,2/3,0)
q6(1,1/2,1/2,0)
の5頂点が超平面x1+x2+x3+x4=2上にあり,2頂点が超平面外にある.
n次元立方体の基本単体の半切体の形だけを問題にする場合にはかえって座標を忘れて,単体を切った切り口がどうなるかを順次調べた方が早道である.5個の頂点を切断超平面で分けると1+4か2+3(頂点を通る例外的な場合は当面必要ない).1+4は(n=3のときと同様に)一方が単体,他方が8頂点16辺12面(三角形8四角形6)6胞(4面体が2個,三角柱状が4個)になる.2+3は2個の側が8頂点16辺12面(三角形8四角形6)6胞(4面体が2個,三角柱状が4個),3個の側が9頂点18辺15面(三角形6四角形19)6胞(すべて三角柱状)となる.
これらの検討結果は私にとっては驚愕的なものであって,故・乙部融朗氏が「計算が終わるまでにイメージが浮かぶのは一松先生のような大家のみかな」といっておられたことがいまさらながら思い出された.
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【3】まとめ
(その24)(その25)で4種類(1個は単体(5胞体),3個は6胞体)できた.鏡像体となる2個の6胞体を組み立て直せば4次元の基本単体になるし,1個の単体と1個の6胞体を組み立て直せばRPになる.
どちらも有望な4次元の素片であるが,後者は3次元のRTを2つの切断体βとγに分割した状況によく似ている.
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