黄金比:φ=(1+√5)/2はオイラーの等式:e(πi)+1=0より,
φ=(√5−e(πi))/2
となりますが,φとπとの間にはかわいい近似関係
π≒6φ^2/5=(9+3√5)/5=3.14164・・・
があることが示されています.
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【1】超黄金比(その1)
パスカルの三角形の斜めの項を足すと数列
1,1,2,3,5,8,・・・
が現れます.初項1,第2項1から始まり,隣り合う2項の和が次の項となるこの数列をフィボナッチ数列とよびます.
それに対して,初項2,第2項1のフィボナッチ数列
2,1,3,4,7,11,18,・・・
はリュカ数列と呼ばれています.
Ln=Ln-1+Ln-2
最初の2項は1,1ではなく,2,1(あるいは1,3)です.もし,1,1,2,3,5,8,・・・と始めていたらフィボナッチ数列をシフトした形のものができるだけのことで,面白味はなかったでしょう.
フィボナッチ数列やリュカ数列の一般項は,3項漸化式:
Fn=Fn-1+Fn-2
Ln=Ln-1+Ln-2
の特性方程式
x^2−x−1=0
の2つの解より,連続する2項の比は黄金比
φ=(1+√5)/2=1.618034・・・
に次第に近づくことになります.
さらに,1つの項の和がその前の3つの項の和になっている
Tn=Tn-1+Tn-2+Tn-3
で定義される数列
1,1,1,3,5,9,17,・・・
は,フィボナッチ数列の拡張とみなせるので,フィボナッチ(Fibonacci)をもじってトリボナッチ(Tribonacci)数列と呼ばれます.トリボナッチ数列は3パスカルの三角形に現れます.
トリボナッチ数列でも連続する2項の比はある決まった値
1/3{3√(19+3√33)+3√(19−3√33)+1}=1.839・・・
に収束します.これは
x^3−x^2−x−1=0
の実根です.
テトラナッチ数列,ペンタナッチ数列,ヘキサナッチ数列,・・・はkパスカルの三角形に現れますが,それぞれ特性方程式
x^4−x^3−x^2−x−1=0
x^5−x^4−x^3−x^2−x−1=0
x^6−x^5−x^4−x^3−x^2−x−1=0
・・・・・・・・・・・・・・
をニュートン法で近似計算してみると超黄金比φkが求められます.
超黄金比φkはただひとつ存在し,
x^k−1=(x−1)(x^k-1+・・・+x+1)
より,k→∞のときφk→2に近づくことがわかります.
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【2】超黄金比(その2)
[Q]辺の比が1:xの長方形がある.この長方形を2等分してできた小さい長方形がもとの長方形と相似になるのは?
[A]1:x=2/x:1 → x=√2
[Q]長方形から正方形を切り取った後に残る長方形がもとの長方形と相似になるのは?
[A]1:x=x−1:1 → x=(1+√5)/2
√2とφ=(1+√5)/2は1辺と対角線の長さの比である特別な値であって,それぞれ白銀比,黄金比と呼ばれている.縦横比が白銀比,黄金比の長方形を考える.白銀長方形を長辺を2等分するように2つ折りにすると,一回り小さな白銀長方形が現れる.このことから白銀長方形は紙のサイズの規格になっている.一方,黄金長方形から正方形を取り除くと一回り小さな黄金長方形が現れてくる.黄金長方形も自己再現型図形としてよく知られている.
この操作は無限に続けることができるが,このことは黄金比,白銀比がそれぞれ,無限級数
1+1/φ+1/φ^2+1/φ^3+1/φ^4+・・・=φ^2
1+1/2+1/2^2+1/2^3+1/2^4+・・・=2
無限連分数
φ=[1:1,1,1,,1,・・・]
√2=[1:2,2,2,2,・・・]
で表されることと同義である.
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[Q]長方形から正方形を2つ切り取った後に残る長方形がもとの長方形と相似になるのは?
[A]1:x=x−2:1 → x=1+√2
[Q]長方形から正方形をn個切り取った後に残る長方形がもとの長方形と相似になるのは?
[A]1:x=x−n:1 → x=(n+√(n^2+4))/2
これは黄金比のもうひとつの一般化であるが,この操作は無限連分数
(n+√(n^2+4))/2=[n:n,n,n,,n,・・・]
で表されることと同義である.
φ=[1:1,1,1,,1,・・・]
1+√2=[2:2,2,2,2,・・・]
(3+√13)/2=[3:3,3,3,3,・・・]
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