■面正則多面体の展開図とシェパードの定理(その9)

 このシリーズでは,面正則多面体を辺に沿って切り開いた展開図のうち,少なくともひとつがタイル貼りできる性質(TP)をもつ多面体を探索してきました.たとえば,デルタ多面体(正多面体も含め8種類)はすべてこの性質TPをもっています.

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【1】困難は分割せよ

 1種類の合同な正多角形で平面を敷き詰められるのは,正三角形,正方形,正六角形を使う3つの場合に限られます(プラトンの平面充填形).2種類の正多角形を使うとどうなるでしょうか? 頂点同士が1点に集まらない条件下では,全部で8種類あります.

 ところで,正六角形は6つの正三角形に分割することができます.正三角形はさらに4つの正三角形に4等分することができます.これ以上は無意味ですからやめておきますが,カゴメ格子など正三角形と正六角形からなるタイル貼りは三角格子の一部を事後的に六角格子に変えたもの,すなわち,正三角形からなるプラトンの平面充填形の特別な場合と考えることができるのです.

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【2】正三角形と正六角形からなる面正則多面体

 3種類のプラトンの平面充填形,8種類のアルキメデスの平面充填形はどの頂点でも一様なタイルでしたが,ジョンソン立体では擬似一様タイルを考える必要が生じます.(その7)では平面の敷き詰めを

  一様タイル・・・プラトン(3),アルキメデス(8)

  擬似一様タイル・・・分割型,挿入型

と分類し,その際,挿入型擬似一様タイルについては中心対称(2回回転対称)で差し渡し幅が一定の展開図について探索しました.

 しかし,前述したように考えると正三角形と正六角形からなる面正則多面体(たとえば六角反柱)に関しては,差し渡し幅が一定の展開図という条件は不要になり,中心対称(2回回転対称)の条件下で探索することになります.

 すなわち,六角反柱は面が共面(co-planar)となったデルタ多面体と考えることができるので,性質TPをもつのはむしろ当たり前というわけです.(J55,J56,J57は正三角形と正六角形に加え,正方形でできていますので,六角反柱とは事情が異なっています.)

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【3】タイルの分類

[1]一様タイル・・・プラトン(3),アルキメデス(8)

[2]擬似一様タイル・・・分割型,挿入型

[3]準一様プラトンタイル・・・[2]のなかで正三角形と正六角形からなるタイル,[1]に近い性質をもつ

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