今回のコラムでは,中川宏さんによる図形の分割2題を掲げる.とくに「三角形の7等分」はコラム「直角三角形の分割」に掲げた
(1)辺の長さが1:1:√2の直角三角形(45°,45°,90°の三角形,三角定規のひとつ)は同形4つだけでなく,2つの同形にも分割できる特殊な三角形(レプ2三角形)である.
(2)辺の長さが1:√3:2の直角三角形(30°,60°,90°の三角形,三角定規のひとつ)は同形4つだけでなく,3つの同形にも分割できる特殊な三角形(レプ3三角形)である.
(3)辺の長さが1:2:√5の直角三角形は同形4つだけでなく,5つにも分割できる特殊な三角形(レプ5三角形)である.
を受けての話題であると思われる.
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【1】三角形の7等分
どんな三角形でも各辺の中点をそれぞれ結んでやれば4等分することができる(一般にどんな三角形も4,9,16,・・・,n^2個に合同分割できる).★
では,三角形の各辺の3等分点のうちの3つを下図のようにとって,もっとも遠い頂点(対頂点)と結ぶとどうなるか(この場合頂点から右側に近い3等分点を選んでいるが,左側に近い点をとることも可能).
すると,中央部にできた小さな三角形は,もとの三角形の7等分になる.
平行線を追加し,中央の三角形(緑色の部分)による平行四辺形の格子を描けば,同色の部分の入れ替えによって周囲に合計6個分の合同な三角形を形成することが理解できるだろう.
[雑感]この方法では一般にもとの三角形とは相似にはならないし,ほかに同形は現れない.(正三角形の場合に相似になるが,それ以外にも相似になることがありそうである).
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【2】平行四辺形の中線は対角線を3等分する
(1)平行四辺形の2本の対角線はお互いに2等分する.
(2)三角形の重心は中線を2;1に分ける
を使って,以上のことを導くことができる.
[雑感]三角形の7等分は三角形2つ分の図形としての平行四辺形を考えることによっても導かれる(平面幾何の教科書には平行四辺形の関する事柄はほとんどない).
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