■直角三角形の分割

[定理]直角をはさむ二辺の比が1:n の直角三角形はn^2+1個に合同分割できる(nは自然数).

                         2010年7月14日

                               中川 宏

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【1】作図法

 正方形の四辺をそれぞれn等分する点を定め,直角をはさむ二辺が1:nになるような直角三角形を描けば,その三角形はかならずn^2+1個に合同分割することができる.分割要領は図のとおり(直角の頂点から斜辺に垂線を下ろす).

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【2】発見のきっかけ

 黄金三角形(1:2:√5の直角三角形)が5等分できることを「カオスとアクシデントを操る数学」(エドワード・B・バーガー&マイケル・スターバード著,早川書房)から教えていただいたので,例によって紙形をならべて遊んでいたら,たまたま上の段右の正方形ができた.そこで正方形の一辺の2等分点と向かいの頂点を結ぶ操作を,ためしに3等分点以上に拡張してみたら,一般化できることがわかった.

 どんな三角形も4,9,16,・・・個に合同分割できることは当然だが,直角をはさむ辺の長さが1:nの直角三角形は,特別にn^2+1個 にも合同分割できるわけである.

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【3】雑感

 ということは1:nの直角三角形はすべて非周期的平面充填ができるということになります.「黄金三角形」であることがカオスの要因ではないですね.

そもそも「黄金三角形」という名前はどうでしょうか? たしかに黄金長方形の作図過程にあらわれるのですが,円弧の一部分ですし正方形の半分の長方形を半分に割った直角三角形というのが直接性ですから・・・.

 黄金菱形と白銀2乗菱形の混合タイル貼りを黄金菱形の作図法とみなせば,そこに3種類の三角形が揃います.いずれも直角をはさむ二辺の比が,

  (1)グレーが白銀比1:√2の三角形

  (2)イエローが黄金比1:τ の三角形

  (3)ピンクが1:2倍数比の三角形

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