【1】三角形分割
任意の三角形の3辺の中点を結ぶと,もとの三角形は合同な4つの三角形に分割される.新たに生じた三角形はもとの三角形と相似(相似比1:2)である.このように任意の三角形は自分自身と相似な4個の三角形に分けることができる.それでは・・・
(Q)5つの合同三角形に分割できる三角形は何か?
(A)辺の長さが1:2:√5の直角三角形は同形4つだけでなく,5つにも分割できる特殊な三角形である.
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【2】黄金三角形
辺の長さが1:2:√5の直角三角形は「黄金三角形」と呼ばれることもあるようだ.この図形が「黄金長方形」の作図において重要だからである.
(1)与えられた線分を1辺とする正方形を描く
(2)下辺の中点を求める
(3)下辺の中点を中心として,正方形の左上の角を通る円を描く
(4)正方形の下辺の延長線との交点から垂線を引き,正方形の上辺の延長線との交点を求める
黄金長方形から正方形を取り除くと,残る図形は黄金長方形となる.そして,このプロセスは何度も繰り返すことができる.このような自己相似性をもつ長方形は黄金長方形だけである.
また,黄金三角形にはほかのどんな三角形にもないユニークな特徴がある.5個組み合わせることで,相似比1:√5の大きな黄金三角形を作ることができる.√5は黄金比τ=(1+√5)/2の一部であるが,大きな黄金三角形を5個組み合わせてさらに大きな黄金三角形を作ることができる.そして,このプロセスを永遠に繰り返すと,並進対称性をもたない非周期的なタイル貼りができるのである.
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【3】雑感
白銀2乗菱形の1/4の直角三角形の辺長比はa:b:c=1:2:√5であるから,黄金比
τ=(1+√5)/2=(a+c)/b
と表せる.(あるいは黄金比は1と√5の相加平均と考えることもできるが)白銀2乗菱形それ自身を擬似黄金菱形といってよいのかもしれない.
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