■面正則多面体の展開図とシェパードの定理(その8)

 (その7)に対する補足説明と問題点を指摘しておきたい.

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【1】シェパードの未解決問題

 シェパードは「面正則多面体の辺展開図を考えて,少なくともひとつの展開図が平面充填可能な図形になるか否か」という問題を提示した.プラトン立体・アルキメデス立体・アルキメデス角柱・アルキメデス反角柱については彼自身で解決したのだが,解決できなかった部分は

(1)ジョンソン立体で正三角形と正方形でできるもの(24種類)

(2)ジョンソン立体で正三角形と正方形と正六角形でできるもの(8種類)

のなかで平面充填可能な図形はJ1,J14,J15,J16,J86ですべてかというものである.

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【2】問題点

 シェパードが擬似一様タイル(数種類の頂点の周りの状態を示しながら集まるタイル貼り)を念頭においていたかどうか正確なところはわからないが,論文を読んだ限りではおそらく考慮に入れていなかったものと思われる.そこで重要になるのは「擬似一様タイル」を網羅することであるが,

[問題点1]分割型と挿入型以外の擬似一様タイルはあるのだろうか?

 また,中心対称といっても4回回転対称より2回回転対称のもののほうがタイルになりやすい.さらに差し渡し幅が一定であればなおさらである.ひとつの多面体であっても展開図の個数は非常に多くなってしまうため,中心対称(2回回転対称)で差し渡し幅が一定の展開図について探索してみて,平面充填不可能なものは除外することにした.しかし,タイル貼りには平行移動以外に回転や鏡映もあるので,

[問題点2](2回回転対称)で差し渡し幅が一定の展開図について平面充填不可能な場合は「絶対不可能」といい切れるだろうか?

 また,正三角形と正方形でできる挿入型擬似一様タイルに関しては,列数が7以上では閉じた多面体にならない,列数6では共面になる,列数が5〜3の場合はと閉じるが凹面になるため,列数は2または1.正方形面が縦に連結する場合は共面になるため,正方形面は非連結としたが,

[問題点3]正方形面は非連結で列数は1または2であるという拘束条件で正しいだろうか?

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