このシリーズでは,デルタ多面体8種類による空間充填やJ91充填(正12面体+立方体+J91の3種類の多面体からなる充填構造)を紹介してきた.見方を変えれば,こられの空間充填形は,空間の分割においてすべての連結切断面が正多角形であるような非自明な分割の存在を示唆していることになる.
===================================
[Q]JZ多面体92種(+正多面体+準正多面体)のうち,何種類かを用いて空間充填できるものをすべて決定したい.
[A]
(a)立方体だけ
(b)正四面体+正八面体
(c)J91充填
・・・・・・・・・・・
J91を含む空間充填の発見には驚かされたが,この考えの延長線上ではいつまでたってもらちがあかない.全数探索する必要があるのだが,コンピュータの助けを借りるとしても膨大な計算が必要になるだろう(ざっと見積もって150^3).
なお,面正則多面体にはアルキメデル角柱,アルキメデス反角柱も含まれる.アルキメデス角柱の二面角は簡単であるから,ここではアルキメデス反角柱の二面角を求めてみる.
1辺の長さが1であるとき,正n角形の外接円の半径をrとすると
rsin(π/n)=1/2 → r=1/2sin(π/n)
また,反角柱の高さは
H^2=1^2−(2rsin(π/2n))^2
H={1−1/(2cosπ/2n)^2}^(1/2)
正n角形面と正三角形面の二面角は
arccos(2H/√3)+π/2
で与えられる.正三角形面同士の二面角の求め方は演習問題として残しておきたい.
n 高さ 二面角 二面角
3 .816497 109.471 109.471
4 .840896 103.836 127.552
5 .850651 100.812 138.19
6 .8556 98.8994 145.222
7 .858473 97.5722 150.222
8 .860296 96.5946 153.962
9 .861526 95.843 156.866
10 .862397 95.2466 159.186
===================================