(その5)では,頂点の位置を保持したまま,菱形90面体の60枚の白銀菱形を黄金菱形に置き換えてみましたが,金原博昭さんの問題はそれと同時に30枚の黄金2乗菱形を白銀菱形に置き換えるというものなので,頂点の位置を保つことはできません.もっと自由度の高い計算が要求されます.その計算は,
A(0,0,h)
B(1,0,0)
C(x,xtanπ/5,z)
D(x,−xtanπ/5,z)
とおいて,連立2次方程式を解く問題に帰着されることがわかりました.
===================================
【1】黄金菱形を長軸で,白銀菱形を長軸で折る場合
連立2次方程式
(x−1)^2+z^2=(1+h^2)/3
(x−1)^2+(xtanπ/5)^2+z^2=1+h^2
(x−2)^2+(xtanπ/5)^2+(z+h)^2=4(1+h^2)/(1+τ^2)
に帰着されます(τ:黄金比).解は2通りあって
[1]x=1.26121,z=−.592953,h=.509387のとき
黄金菱形−黄金菱形間二面角は131.81°
黄金菱形内二面角は170.048°
黄金菱形−白銀菱形間二面角は135°
白銀菱形内二面角は110.984°
[2]x=1.97486,z=−.281079,h=1.44501のとき
黄金菱形−黄金菱形間二面角は131.81°
黄金菱形内二面角は79.0222°
黄金菱形−白銀菱形間二面角は135°
白銀菱形内二面角は148.732°
となります.
===================================
【2】黄金菱形を短軸で,白銀菱形を長軸で折る場合
連立2次方程式
(x−1)^2+z^2=(1+h^2)/3
(x−1)^2+(xtanπ/5)^2+z^2=1+h^2
(1−cos2π/5)^2+(sin2π/5)^2=4(1+h^2)/(1+τ^2)
に帰着されます.この場合も解は2通りあって
[3]x=1.25646,z=−.592364,h=.5のとき
黄金菱形−黄金菱形間二面角は144°
黄金菱形内二面角は173.193°
黄金菱形−白銀菱形間二面角は140.646°
白銀菱形内二面角は110.255°
[4]x=1.25646,z=−.592364,h=−.5のとき
黄金菱形−黄金菱形間二面角は144°
黄金菱形内二面角は109.758°
黄金菱形−白銀菱形間二面角は140.646°
白銀菱形内二面角は110.255°
となります.
===================================
【3】まとめ
菱形90面体においては,黄金比と白銀比の相補性を示唆するような二面角の一致はみられませんでした.
===================================