このシリーズではこれまで直角三角錐(RT,RP,・・・)がn次元の正多面体の元素定理の本質をなしていることをつきとめた.次に,もうひとつの直角三角形(立方体の基本単体)が平行多面体の元素定理の本質をなしていることを述べた.
基本単体の胞数はn+1である.(その6)では基本単体の2分割体の頂点数v(n)を求めたが,胞数c(n)については未解決である.とはいえ辺数e(n),面数f(n),・・・と地道に求めることは難しそうである.c(n)は簡単な形に表せるのだろうか?
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【1】再考
奇数次元では
(n+1)+1=n+2胞体
になると思われるが,偶数次元では割面が基本単体の頂点pkを通るので厄介である.n=2のときp1,n=4のときp2,n=6のときp3を通るが,割面は基本単体の1頂点しか通らないことがわかる.
偶数次元でもn+1胞体あるいは(n+1)+1=n+2胞体と予測したいところである.n=2のときは直角二等辺三角形になるからn+1胞体が正しいと思われるのだが,これでは辻褄があわない.(その3)において,n=4のとき6胞体としたからである.
n=4の場合を再考してみよう.4次元多胞体というのは3次元の多面体が2つでひとつの側面を共有しながらつながったものである.
q0(0,0,0,0)
q1(1,0,0,0)
q2(1,1,0,0)
q3(1/2,1/2,1/2,1/2)
q4(1,1/3,1/3,1/3)
q5(2/3,2/3,2/3,0)
q6(1,1/2,1/2,0)
のq2,q3,q4,q5,q6は超平面x1+x2+x3+x4=2上にある.この超平面をπで表すことにする.
超平面x4=0上にはq0,q1,q2,q5の4点が載る.すなわち,q0,q1,q2,q5を囲む胞は超平面x4=0で表される(πと2点を共有).
超平面x1=1上にはq1,q2,q4,q6の4点が載る=q1,q2,q4,q6を囲む胞は超平面x1=1で表される(πと3点を共有).さらに
q0,q2,q3,q5を囲む胞は超平面x1−x2=0で表される(πと3点を共有).
q0,q1,q3,q4,q5を囲む胞は超平面x2−x3=0で表される(πと3点を共有).
q0,q1,q2,q3,q4を囲む胞は超平面x3−x4=0で表される(πと3点を共有).
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【2】結果
超平面x4=0はπと側面を共有しないことがわかる.すなわち,ある頂点を通る通る超平面には基本単体となるn+1胞体のうちどうしても通れない1面ができてしまうのである.このことから偶数次元の場合はn+1胞体と予想される.これもあてずっぽうには違いないが,証拠に基づいた理詰めな予想ということになるだろう.
[1]nが奇数の場合
c(n)=n+2
v(n)=[(n+1)/2]^2+[n/2]+1
[2]nが偶数の場合
c(n)=n+1
v(n)=[n/2]^2+[n/2]+1
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