■n次元の立方体と直角三角錐(その5)

 3次元空間を埋め尽くす正多面体は立方体のみである.5次元以上の空間でもn次元立方体のみが空間充填図形となるのに対して,4次元空間の充填図形は多彩で正8胞体,正16胞体,正24胞体の3種類ある.

 正8胞体の基本単体はすでに計量したが,正16胞体,正24胞体の基本単体も当然space fillerである.以下の記述から正16胞体,正24胞体の基本単体がRP(right penta)と関係していることが明らかになる.結論を先にいうとRP16個で正16胞体,RP192個で正24胞体を組み立てることができるのである.

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【1】正16胞体の基本単体

 体心を(0,0,0)とする正八面体の3頂点を

  (2,0,0),(0,2,0),(0,0,2)

とおくと,辺心は(1,1,0),面心は(2/3,2/3,2/3)となる.したがって,基本単体の頂点は

  (2,0,0),(1,1,0),(2/3,2/3,2/3),(0,0,0)

となる.

 体心を(0,0,0,0)とする正16胞体の4頂点を

  (2,0,0,0),(0,2,0,0),(0,0,2,0),(0,0,0,2)

とおくと,辺心は(1,1,0,0),面心は(2/3,2/3,2/3,0),胞心は(1/2,1/2,1/2,1/2)となる.したがって,基本単体の頂点は

  (2,0,0,0),(2/2,2/2,0,0)=(1,1,0),(2/3,2/3,2/3,0),(2/4,2/4,2/4,2/4)=(1/2,1/2,1/2,1/2)

で与えられることがわかる.なお,正16胞体の基本単体数は24×16=384となる.

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【2】正24胞体の基本単体

 体心を(0,0,0)とする菱形12面体の4頂点を

  (0,0,2),(±1,1,1),(0,2,0)

にとることができる.同様に,体心を(0,0,0,0)とする正24胞体の8頂点を

  (0,0,0,2),(±1,±1,1,1),(0,0,2,0)

にとることができる.菱形12面体の場合と違って,この8頂点は体心から等距離にある.辺心を(1/2,1/2,1/2,3/2),面心を(0,2/3,2/3,4/3),胞心を(0,0,1,1)にとることができる.

 胞心と各頂点を結ぶベクトルは

  (0,0,−1,1)(±1,±1,0,0),(0,0,1,−1)

であって,これらは互いに直交し,長さはすべて等しく√2となる.また,体心と胞心を結ぶベクトル(0,0,1,1)もこれらと互いに直交し長さも√2である.なお,正24胞体の基本単体数は48×24=1152となる.

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[補]正5胞体の基本単体数は24×5=120

   正8胞体の基本単体数は48×8=386

   正120胞体の基本単体数は120×120=14400

   正600胞体の基本単体数は24×600=14400

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