■n次元の立方体と直角三角錐(その4)

 (その2)(その3)では「4次元平行多面体の元素の形」を求めたが,今回のコラムでは「5次元平行多面体の元素の形」を計量してみることにする.

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【1】n次元の立方体の基本単体の分割

 立方体[0,1]^nに対して,

  on(0,0,0,・・・0,0)

  o0(1,1,1,・・・1,1)

を結ぶ対角線の中点

  (1/2,1/2,1/2,・・・,1/2,1/2)

を通る超平面

  x1+x2+x3+・・・+xn=n/2

と各辺の交点を求めてみることにします.

 計算の都合上,pk=on-kとおきます.

  p0(0,0,・・・,0)

  p1(1,0,・・・,0)

  p2(1,1,0,・・・0,0)

  ・・・・・・・・・・・・・・・・

  pn-1(1,1,1,・・・1,0)

  pn(1,1,1,・・・1,1)

ですから,直線p0pnは

  x1=x2=・・・=xn

で表されます.したがって,p0pnとの交点は

  (1/2,1/2,1/2,・・・,1/2,1/2)

 直線p1pnは,

  x1=1,x2=・・・=xn

したがって,p1pnとの交点は(1,(n−2)/2(n−1),・・・,(n−2)/2(n−1)).n=5の場合は(1,3/8,3/8,3/8,3/8)となります.

 直線p2pnは,

  x1=x2=1,x3=・・・=xn

したがって,p2pnとの交点は(1,1,(n−4)/2(n−2),・・・,(n−4)/2(n−2))

n=3の場合は(n−4)/2(n−2)<0となって交わらないことがわかります.n=5の場合は(1,1,1/6,1/6,1/6)となります.

 直線p3pnは,

  x1=x2=x3=1,x4=・・・=xn

したがって,p2pnとの交点は(1,1,1,(n−6)/2(n−3),・・・,(n−6)/2(n−3))

n=5の場合は(n−6)/2(n−3)<0となって交わりません.

 直線p4pnは,

  x1=x2=x3=x4=1,x5=・・・=xn

したがって,p2pnとの交点は(1,1,1,(n−8)/2(n−4),・・・,(n−8)/2(n−4))

n=5の場合は(n−8)/2(n−4)<0となって交わりません.

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 次にp0を通る直線の場合を調べてみます.直線p0p1は

  x2=・・・=xn=0

ですから,x1=n/2となって,n>2のとき交わらないことがわかります.

 直線p0p2は

  x1=x2,x3=・・・=xn=0

ですから,x1=x2=n/4となって,n≦4のときのみ交わります.

 直線p0p3は

  x1=x2=x3,x4=・・・=xn=0

ですから,x1=x2=x3=n/6となって,n≦6のときのみ交わります.n=5のとき交点は(5/6,5/6,5/6,0,0)となります.

 直線p0p4は

  x1=x2=x3=x4,x5=・・・=xn=0

ですから,x1=x2=x3=n/8となって,n≦8のときのみ交わります.n=5のとき交点は(5/8,5/8,5/8,5/8,0)となります.

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 次にp1を通る直線の場合を調べてみます.直線p1p2は

  x1=1,x3=・・・=xn=0

ですからx2=(n−2)/2.したがって,交点は

  (1,(n−2)/2,0,・・・,0)

となります.2≦n≦4のときのみ交わります.

 直線p1p3は

  x1=1,x4=・・・=xn=0

ですから,x2=x3=(n−2)/4.交点は

  (1,(n−2)/4,(n−2)/4,0,・・・,0)

となって,2≦n≦6のときのみ交わります.n=5のとき交点は(1,3/4,3/4,0,0)となります.

 直線p1p4は

  x1=1,x5=・・・=xn=0

ですから,x2=x3=x4=(n−2)/6.交点は

  (1,(n−2)/6,(n−2)/6,(n−2)/6,0,・・・,0)

となって,2≦n≦8のときのみ交わります.n=5のとき交点は(1,1/2,1/2,1/2,0)となります.

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 p2を通る直線p2p3では

  x1=x2=1,x4=・・・=xn=0

ですからx3=(n−4)/2.したがって,交点は

  (1,1,(n−4)/2,0,・・・,0)

となります.4≦n≦6のときのみ交わります,n=5のとき交点は(1,1,1/2,0,0)となります.

 p2を通る直線p2p4では

  x1=x2=1,x5=・・・=xn=0

ですからx3=x4=(n−4)/4.したがって,交点は

  (1,1,(n−4)/4,(n−4)/4,0,・・・,0)

となります.4≦n≦8のときのみ交わります,n=5のとき交点は(1,1,1/4,1/4,0)となります.

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 p3を通る直線p3p4では

  x1=x2=x3=1,x5=・・・=xn=0

ですからx4=(n−6)/2.したがって,交点は

  (1,1,1,(n−6)/2,0,・・・,0)

となります.6≦n≦8のときのみ交わります.

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【2】5次元平行多面体の元素の形

 基本単体の頂点

  p0(0,0,0,0,0)

  p1(1,0,0,0,0)

  p2(1,1,0,0,0)

  p3(1,1,1,0,0)

  p4(1,1,1,1,0)

  p5(1,1,1,1,1)

と前節で求めた9交点

  (1/2,1/2,1/2,1/2,1/2)

  (1,3/8,3/8,3/8,3/8)

  (1,1,1/6,1/6,1/6)

  (5/6,5/6,5/6,0,0)

  (5/8,5/8,5/8,5/8,0)

  (1,3/4,3/4,0,0)

  (1,1/2,1/2,1/2,0)

  (1,1,1/4,1/4,0)

  (1,1,1/2,0,0)

から,x1+x2+x3+x4+x5≦5/2の部分をとると,12頂点

  q0(0,0,0,0,0)

  q1(1,0,0,0,0)

  q2(1,1,0,0,0)

  q3(1/2,1/2,1/2,1/2,1/2)

  q4(1,3/8,3/8,3/8,3/8)

  q5(1,1,1/6,1/6,1/6)

  q6(5/6,5/6,5/6,0,0)

  q7(5/8,5/8,5/8,5/8,0)

  q8(1,3/4,3/4,0,0)

  q9(1,1/2,1/2,1/2,0)

  q10(1,1,1/4,1/4,0)

  q11(1,1,1/2,0,0)

が元素の頂点となる.q3〜q11は超平面x1+x2+x3+x4+x5=5/2上にある.これが7680個で5次元立方体を組み立てることができる.

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