■正四面体に手錠をはめる(その5)

 (その4)の手錠は,正四面体の1辺の長さの70%であって,90%ではない.前原先生の講演では,結果だけで詳しい証明には立ち入らなかったそうである.90%といったのはおおざっぱな値で,正確な境界は89,6%余りで,これはある有理関数の極値をコンピュータを援用して計算した値とのことである.

  1/√2≦d≦0.896・・・</P>

 (その4)では,正四面体の通り抜ける円形の穴の下限を「ペトリー面」を使って求めたが,ここでは上限を求めてみたい.

 正弦定理より,a/sinA=2R

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[1]立方体の場合

  a=(2+x^2)^1/2

  sinA={(x^2+2x+3)/2(2+x^2)}^1/2

  2R={2(x^2+2)^2/(x^2+2x+3)}^1/2

  4R^2=2(x^2+2)^2/(x^2+2x+3)}

 (4R^2)’=0より

  x^3+3x^2+4x−2=0,x=0.379,d=2R=1.535

 また,1辺1の立方体に対して,可能な下限は中央の切り口(ペトリー面)−1辺が1/√2の正六角形(ペトリー多角形)の対角線(長さ√2)を直径とする円である.これより,

  √2≦d≦1.53477・・・

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