■基本単体の二面角(その320)

【1】ルート系

 n次元空間において高度の対称性をもったベクトルの集合がルート系なのですが,ルート系ではベクトルの間の角度は30°,45°,60°,90°またはその補角に限られるので,2次元の可能なルート系は

  A2(正六角形:正三角形格子)

  B2=C2(正方形)

  G2(星形六角形:正6角形を2個合わせたもの)

しかありません.

 正三角形モザイクからは正六角形が得られるのでA2,直角二等辺三角形モザイクは正方形の頂点と各辺の中点を結んでできるのでB2=C2,麻の葉文様はダビデの星形六角形の各頂点になっているのでG2に相当します.

 sl(n,C)の1組(2個)の正規直交基底を決め,n^2−n個のルートを図示すると,sl(3,C)では2次元ユークリッド空間で正6角形が得られます.このことを高次元に拡張してみましょう.

 sl(4,C)の1組の正規直交基底を決め,3次元ユークリッド空間で図示すると12個の中心対称な点を得ることができるのですが,これらを頂点とする立体は立方八面体と呼ばれる準正多面体となります.立方八面体は立方体(あるいは正八面体)の各辺の中点を結んでできる6個の正方形面と8個の正三角形面からなる14面体です.

 o(2n+1,C)で同様のことを行うと2n^2個のルートは,o(5,C)のR^2の8点の場合,正方形の4個の頂点と各辺の中点4個,o(7,C)のR^2の18点の場合,立方八面体の12個の頂点と6個の正方形面の中心の点となります.

 o(2n,C)には2n^2−2n個のルートがあるのですが,o(4,C)のR^2の4点は正方形の4個の頂点,o(6,C)R^2の12点は立方八面体の12個の頂点であって,sl(4,C)のルート系と同型となります.

 また,sp(n,C)のルート系は2n^2個の元の集まりであって,sp(2,C)の8点はo(5,C)と同型,sp(3,C)の18点は正八面体の6個の頂点と12本の辺の中点となります.

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