■砂嵐の1%

 宇宙の始まりとされるビック・バンの名残りの熱放射がいまでも観測される.その温度は−270℃(絶対零度よりも3℃上)で,宇宙背景放射と呼ばれる.

 昔のTVでは放送終了後に現れた「砂嵐」の1%は,この宇宙背景放射によってもたらされているという.ところで,・・・

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[1]次の式の誤差は1%未満である.

  log2x〜logex+log10x

 log2x=lnx/ln2=1.442695lnx

 log10x=lnx/ln10=0.4342945lnx

したがって,相対誤差は

 (1.442695−1.4342945)/1.442695=0.582%

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[2]階乗n!の近似値を与える公式として有名なスターリングの公式があります.

  n!〜√(2πn)n^nexp(-n)=√(2πn)(n/e)^n

 n=8のとき,

>  8!=40320

>  4√π(8/e)^8=39902

で,誤差は1%である(相対誤差はほぼ1/12nである).

  n!〜√(2πn)(n/e)^n(1+1/12n)

 スターリングの近似公式は階乗の一般化であるガンマ関数の近似値としても使われています.

  Γ(x+1)=∫e^-ttx dt〜√(2πx)x^xexp(-x)

近似の程度を進めると

  Γ(x+1)〜√(2πx)x^xe^-x[1+1/(12x)+1/(288x^2)-139/(51840x^3)-.....}

が得られます.これらの公式ではxが大きくなるほど相対誤差は小さくなります.

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 スターリングは次の等式にも気づいた.

  n!=1+(1−1/1!)・n+(1−1/1!+1/2!)・n(n−1)+(1−1/1!+1/2!−1/3!)・n(n−1)(n−2)+・・・

  e^n>1+x

  (k+1)/k<e^n<k/(k−1)

より

  n^n/e^n-1<n!<n^n+1/e^n-1

 一方,

   φ^n-2<Fn<φ^n-1

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