■有限単純群の分類(その1)

 単純群は

  (1)素数位数の巡回群

  (2)5次以上の交代群

  (3)リー型の単純群

  (4)散在型単純群

の4種類に大別される.今日では有限単純群の分類は完成し,合計18の無限系列と26個の散在群に限ることがわかっている.

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【1】有限単純群の分類(1)(2)

 素数位数の巡回群は単純群であるが,これ以外にも単純群はあり,5次以上の交代群(対称群の置換のなかで偶置換が作る群)も単純群となる.その位数はn!/2で,A5(60),A6(360),A7(2520),A8(20160),A9(181440),A10(1814400)と計算される.

 単純群の最小位数は素数でなければ60である.位数60の群は5個の対称の置換のなかで偶置換が作る群A5である.A5は正12面体の回転群としても現れる.

 単純群は非常に稀であって,たとえば,2000未満の位数をもつ単純群の位数を書き出してみると

  60(A5),168,360(A6),504,660,1092

しかない.このなかでA5,A6以外の群はリー型の単純群である.

[補]バーンサイドの定理

 もし単純群が素数位数の巡回群でなければ,その位数は少なくとも3つ異なる素数で割れる.たとえば,最小位数の単純群の異数は60であり,これは2,3,5で割れる.次に小さい単純群の位数は168であり,これは2,3,7で割れる.

[補]ファイト・トンプソンの定理

 素数位数の巡回群を除いて,すべての単純群の位数は偶数である.したがって,もし群の位数が奇数なら,素数位数の巡回群の集まりに分解することができる.

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