■ほとんど完全数(その15)

【1】ラグランジュの定理(4平方和定理)

 「すべての正の整数は高々4個の整数の平方和で表される」というのが,ラグランジュの定理です.すなわち,ラグランジュの定理は4次元空間内の原点を中心とする半径√nの球面には必ず格子点があることを主張しているわけです.半径√nの2次元の円,3次元の球には格子点が存在するとは限らないのです.

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【2】2平方和定理と3平方和定理

 どの場合に2つで済むのか,3つで済むのか?という問題は,ラグランジュの定理に先行するフェルマー・オイラーの定理,オイラー・ルジャンドルの定理で解決されています.

[1]フェルマー・オイラーの定理(2平方和定理)

 特別な素数である2を除外して,素数は4で割ると余りが1になるもの(5,13,17,29,37,41,・・・)と3になるもの(3,7,11,19,23,31,・・・)の2種類に分けられます.

 このうち,4n+1の形の素数は2つの整数の平方の和として表されます.たとえば,5=1^2+2^2,13=2^2+3^2,17=1^2+4^2,29=2^2+5^2

 幾何学的な解釈を与えると半径√pの円上には8個の格子点が存在するのです.しかし,4n+3の形の素数は1つもこのようには表せないのです.この定理はフェルマーの定理と呼ばれ,フェルマーは無限降下法でこれを証明しましたが,その証明は不十分で,100年後のオイラーによって完全な証明がなされています.

 それでは,どのような自然数mが2つの平方数の和の形に書くことができるのでしょうか? 2つの平方数の和になる数m=4n+3はありません.mの素因数分解におけるp=4n+3の形のすべての素因数の指数が偶数であるときに限り,2つの平方数の和の形に表すことができるのです.

 すなわち,

  p=1   (mod4)

  q=−1  (mod4)

  m=2^aΠp^bΠq^c

において,すべてのcが偶数のとき,m=x^2+y^2に対する解は存在するのです.

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[2]ガウス・ルジャンドルの定理(3平方和定理)

 4n+3の形の素数は2個の平方数の和で表せませんが,同様にして,

  「8n+7の形の素数は3個の平方数の和では表されない.」

 4の非負のベキをかけたときの自然数m≠4^k(8n+7)はmが高々3個の平方数で表されるための必要十分条件です.すなわち,

  x^2+y^2+z^2≠4^k(8n+7)

のときに限って整数解をもちます.

 このことは、平均して全整数の

  1/8+1/4・8+1/16・8+・・・=1/6

は三平方和で表すことができないことを意味しています.

 ガウスの定理ともルジャンドルの定理とも呼ばれますが,ルジャンドルは2次形式ax^2+by^2+cz^2の研究を通して,より一般的な3元2次形式論として,この結果を得ています.

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