■フェルマーの発見とフィボナッチ数(その29)

集合A={1,3,8}は異なる2つの要素の積に1を加えると平方数になるという条件を満たす(ディオファントスの3組)。

1・3+1=4

1・8+1=9

3・8+1=25

第4の要素として正の整数xを追加した集合B={1,3,8,x}も同じ条件を満たす(フェルマーの4組)。

このようなxはただ一つ存在することが知られている。xを求めよ

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x+1,3x+1,8x+1がすべて平方数となることが必要十分条件であるから、

x+1=u^2とおくと、3x+1=3u^2-2,8x+1=8u^2-7

x>1よりu>=2

u^2=4,9,16,・・・

3u^2-2、8u^2-7がともに平方数となるのはu=11→x=120

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富永先生の解説によると、

[1]3u^2-2、8u^2-7がともに平方数となるuがただひとつであることを示すのは高校数学を大きく超えるので、問題文に与えることにした。

A. Baker and H. Davenport, The equations 3x^2-2=y^2 and 8x^2-7=z^2

Quart. J. Math. Oxford Ser(2), 20,1969,129-137

[2]異なる2つの要素の積に1を加えると平方数になる集合を考えるのは、ディオファントスにとって提唱された数学の問題である。異なる2つの要素の積に1を加えると平方数になるはこのような集合の有理数の例として {1/16,33/16,17/4,105/16} を得ていた。集合の要素を正の整数に限った場合、この条件を満たす集合{a1,a2,・・・,am}をディオファントスのm組という。

[3]フェルマーはこのディオファントスのm組に対して{1,3,8}からスタートして4番目の要素120を得た。{1,3,8,120}はフェルマーの4組と呼ばれる。

[4]実はこの {1,3,8}はフィボナッチ数列Fn={1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,・・・}の連続する3つの偶数項であり、これらがディオファントスの3組となることはカッシーニの公式やその拡張により一般的に証明できる。すなわち、n>=2に対して、集合{F2n-2,F2n,F2n+2}はディオファントスの3組であり、x=4Fn-1F2nF2n+1をついかすることで、ディオファントスの4組に拡張できる。各自、研究してみよ。

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東大で講義した際のギャラが3万円だったので、「フィボナッチ数・リュカ数大鑑」の訳者:谷克彦先生にお願いいして、その本を桐蔭学園に寄贈していただきました。{1,3,8,120}については、それにも載っている問題です。(佐藤郁郎)

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{a1,・・・,am}→aiaj+nがすべて平方数であるとき、D(n)ディオファントスm項と呼ばれる。

フェルマーはD(n)ディオファントス4項{1,3,8,120}を見出した

ベイカーとダヴェンポートは{1,3,8}がただ一通りにディオファントス4項に拡張され、ディオファントス5項には拡張されないことを証明した。

ドゥジェラとペトーは{1,3}が無限に多くの方法でディオファントス4項に拡張され、ディオファントス5項には拡張されないことを証明した。

D(1)ディオファントス5項は知られていないが、

D(256)ディオファントス5項{1,33,105,320,18240}

D(2985984)ディオファントス6項{99,315,9920,32768,44460,19534284}は既知である。

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