■フェルマーの発見とフィボナッチ数(その22)
横浜桐蔭学園の富永正治先生より、土曜日に実施されたトーマス(桐蔭学園数学オリンピック)の問題が送られてきた。
富永先生の解説とともに紹介したい。
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集合A={1,3,8}は異なる2つの要素の積に1を加えると平方数になるという条件を満たす(ディオファントスの3組)。
1・3+1=4
1・8+1=9
3・8+1=25
第4の要素として正の整数xを追加した集合B={1,3,8,x}も同じ条件を満たす(フェルマーの4組)。
このようなxはただ一つ存在することが知られている。xを求めよ
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x+1,3x+1,8x+1がすべて平方数となることが必要十分条件であるから、
x+1=u^2とおくと、3x+1=3u^2-2,8x+1=8u^2-7
x>1よりu>=2
u^2=4,9,16,・・・
3u^2-2、8u^2-7がともに平方数となるのはu=11→x=120
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富永先生の解説によると、
[1]3u^2-2、8u^2-7がともに平方数となるuがただひとつであることを示すのは高校数学を大きく超えるので、問題文に与えることにした。
A. Baker and H. Davenport, The equations 3x^2-2=y^2 and 8x^2-7=z^2
Quart. J. Math. Oxford Ser(2), 20,1969,129-137
[2]異なる2つの要素の積に1を加えると平方数になる集合を考えるのは、ディオファントスにとって提唱された数学の問題である。異なる2つの要素の積に1を加えると平方数になるはこのような集合の有理数の例として
{1/16,33/16,17/4,105/16}
を得ていた。集合の要素を正の整数に限った場合、この条件を満たす集合{a1,a2,・・・,am}をディオファントスのm組という。
[3]フェルマーはこのディオファントスのm組に対して{1,3,8}からスタートして4番目の要素120を得た。{1,3,8,120}はフェルマーの4組と呼ばれる。
[4]実はこの {1,3,8}はフィボナッチ数列Fn={1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,・・・}の連続する3つの偶数項であり、これらがディオファントスの3組となることはカッシーニの公式やその拡張により一般的に証明できる。すなわち、n>=2に対して、集合{F2n-2,F2n,F2n+2}はディオファントスの3組であり、x=4Fn-1F2nF2n+1をついかすることで、ディオファントスの4組に拡張できる。各自、研究してみよ。
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