■オイラーの多面体公式(その4)
【5】7本の辺をもつ多面体?
pi≧3,qi≧3ですから
2e≧3f,2e≧3v
このことから多面体は7本の辺をもつこと(e=7)は不可能であることが証明されます.
(証)e=7なる多面体が存在したと仮定すると,3f≦14,3v≦14.f,vは面,頂点の個数なので,3より大きな整数でなければならない.したがって,f=4,v=4,e=7となるが,これはオイラーの多面体定理
v−e+f=2
を満たさないので矛盾が生じる.
このことから
f≧4,v≧4,e≧6(e≠7)
であることがわかりましたが,他にオイラーの多面体定理で示される制限はないのでしょうか?
オイラーの多面体定理で示される制限からいえることとして,
v−e+f=2,2e≧3f,2e≧3v
を組み合わせると,
2v+2f=2e+4≧3f+4 → f≦2v−4
2v+2f=2e+4≧3v+4 → v≦2f−4
これらはシュタイニッツの定理(1906年)と呼ばれますが,オイラー自身すでに
f≦2v−4,v≦2f−4
という結果を知っていたようです.また,別の組合せ方をすると,
3v+3f=3e+6≦2e+3f → 3f−e≧6
3v+3f=3e+6≧2e+3v → 3v−e≧6
も得られます.
なお,これらの式の頂点vと面fの対称性により,f面凸多面体とv点凸多面体は同数になるのですが,「4面体は4つの頂点と4つの面から構成されるので,頂点数を加えていうと,4点4面体である.5面体には4角錐(5点5面体)と3角柱(6点5面体)がある.6面体には5点6面体が1種類,6点6面体,7点6面体,8点6面体が2種類ずつの合計7種類ある.以下,7面体には34種類,8面体には257種類,9面体には266種類ある.
見方を変えて,凸多面体を頂点数で分類すると,4点多面体は1種類,5点多面体は2種類,6点多面体は7種類,7点多面体は34種類,8点多面体は257種類,9点多面体は266種類,10点多面体は32300種類ある.」・・・両者で同じ数値が出現していることに気づかれたかと思います.
つぎに,3次元立体では必ず頂点に結合する辺の個数が3の頂点か3角形の面をもつことを示します.n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,
i)Σnfn=Σnvn
ii)Σf2n+1は偶数
iii)v3+f3>0
を順に示していきます.
(証)各辺は2個の頂点をもつから,Σnvn=2E.また,各辺では2枚の面が交わるからΣnfn=2E.
(証)i)より,Σ(2n+1)f2n+1=(偶数),したがって,Σf2n+1も偶数.
(証)E=Σen,V=Σvn,F=Σfn,Σnfn=Σnvn=2E. もしv3=0,f3=0ならば,2E=4v4+5v5+・・・≧4V.同様に,2E≧4F.これより,V−E+F≦E/2+E/2−E=0.これはオイラーの多面体定理:V−E+F=2に矛盾するから,v3,f3のうち,少なくとも1つは0でない.
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