■ハノイの塔(その6)
19世紀の数学者リュカの考案したゲームに「ハノイの塔」があります.ハノイの塔とは3本の柱A,B,Cがあり,柱Aにある何枚かの円盤を1枚ずつ柱Bを中継点にして柱Cに移動させるものです.ただし,どの柱でも上の円盤の方が小さくなければなりません.
(問)64枚の円盤があるとき,移し替えが完了するには何回移動しなければならないのか?
円盤が3枚であるとします.Aにある3枚をBに移すにはCを中継点にしてBに移動させる.このためには上の2枚をCに移し,3枚目をBにもってきた後,Cの2枚をBに移動させる.次に円盤が4枚であるとします.上の三枚がくっついているとして,この3枚をBに移し,一番下の円盤をCにもってきて,Bの3枚をCに移せばよい.
このような再帰的な方法を用いれば円盤が何枚あってもAからCに移動させることができるのですが,n枚の円盤を移動させるのに必要な最小回数をanと書くことにすれば,漸化式
an=2an-1+1
で表せることがわかります.いま述べたn−1枚がくっついているとして・・・という考え方を小学5年生の息子に説明したところ,彼にも意味が理解できた様子でありました.
anの具体的な値は
an+1=2(an-1+1)
an-1+1=2(an-2+1)
・・・・・・・・・・・・・
a2+1=2(a1+1)
より,容易に
an=2^n−1
で与えられることがわかりますが,こうして円盤が3枚のとき→4枚のとき→n枚のときに一般化することができます.
(答)64枚の円盤があるとき,2^64−1回の移動をしなければならない.1秒に1回移動をさせるにしても完了までには5820億年かかることになる.
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