■フェルマーの合同式(その4)
[Q]n^5−nは10の倍数であることを示せ.
[A]n^5−n=n(n^4−1)=n(n^2−1)(n^2+1)
=(n−1)n(n+1)(n^2+1)
(n−1)n(n+1)は3個の連続する整数の積であるから3!=6で割り切れることはわかるが,(n^2+1)は
2,5,10,17,26,・・・
となって,n^5−nが10の倍数であるかどうかはよくわからない.
そこで,数学的帰納法を使ってみよう.
P(1)=1^5−1=0・・・10の倍数である
P(k)=k5−kが10の倍数であると仮定する.このとき,
P(k+1)=(k+1)^5−(k+1)
=(k^5−k)+5k(k+1)(k^2+k+1)
k(k+1)は2の倍数であるから,(k^5−k)も5k(k+1)(k^2+k+1)も10の倍数である.→P(k+1)は10の倍数である.
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42が任意の整数に対してn^7-nを割り切ることを示したい。
(証)
n^7-n=(n-1)n(n+1)(n^2+n+1)(n^2-n+1)
フェルマーの小定理よりn^7-nは7で割り切れる。
(n-1)n(n+1)は連続する3数だから6で割り切れる。
gcd(7,6)=1よりn^7-nは42で割り切れる。
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30が任意の整数に対してn^5-nを割り切ること、nが奇数ならば240で割り切れることを示したい。
(証)
n^5-n=(n-1)n(n+1)(n^2+1)
フェルマーの小定理よりn^7-nは5で割り切れる。
(n-1)n(n+1)は連続する3数だから6で割り切れる。
gcd(5,6)=1よりn^5-nは30で割り切れる。
n=2m+1ならばn^5-n=(n-1)n(n+1)(n^2+1)=8(2m+1)m(m+1)(2m^2+2m+1)は16で割り切れる
したがって、gcd(15,16)=1よりn^5-nは240=15・16で割り切れる
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