■分割数の近似式(その4)

 分割数p(n)を評価する問題は数論において研究されていて,ラマヌジャンが予想した注目すべき漸近近似式

  p(n) 〜 1/4n√(3)exp(π√(2n/3))

は,1918年,ハーディーとラマヌジャンによって,円周法を用いて証明が与えられています.

 (その3)では

  exp(2√n)/exp(5)n^2≦p(n)≦exp(π√(2n/3))

したがって,十分大きなnに対しては

  exp(c1√n)≦p(n)≦exp(c2√n)

となる評価が得られたことになります.

 ラマヌジャンの結果より粗いのですが,関数の増加に対するオーダーはわかります.今回のコラムではこれよりももっと粗いp(n)の上界

  p(n)<exp(3√n)

を示すことにしましょう.

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【1】分割数の漸近挙動

 分割関数の母関数

  f(x)=Π(1-x^n)^(-1)={(1-x)(1-x^2)・・・(1-x^n)・・・}^(-1)

    =Σp(n)x^n=1+p(1)x+p(2)x^2+p(3)x^3+・・・

の対数をとると

  lnf(x)=-ln(1-x)-ln(1-x^2)-ln(1-x^3)-・・・

=(x+x^2/2+x^3/3+・・・)+(x^2+x^4/2+x^6/3+・・・)+(x^3+x^6/2+x^9/3+・・・)+・・・

=(x+x^2+x^3+・・・)+(x^2+x^4+x^6+・・・)/2+(x^3+x^6+x^9+・・・)/3+・・・

=x/(1-x)+x^2/(1-x^2)/2+x^3/(1-x^3)/3+・・・

 ここで,x^n/(1-x^n)  lnf(x)=x/(1-x){1+1/2^2+1/3^2+・・・}<2x/(1-x)

lnp(n)ここで,x=(n+√n)/n+3√n)とおくと,p(n)<exp(3√n)

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