■賢者の石と愚者の金(その2)

賢者の石は錬金術の用語である.卑金属を金などの貴金属に変えるための触媒であって,卑金属を貴金属に変えると信じて探し求められていた物質である。ヨーロッパにイスラム科学の錬金術が輸入され,賢者の石の探求熱が高まったのは12世紀である。当時、水銀と硫黄の比率(硫化水銀)により賢者の石ができると考えられていたようである.

一方、愚者(愚か者)の金とは黄鉄鉱(パイライト,硫化鉄)のことである.金に似て非なる物質であって、輝くものすべてが金とは限らない,転じてから騒ぎだけで終わってしまうことの暗喩なのだと思われる.

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