■パドヴァン数列(その1)

1辺の長さがフィボナッチ数列の正方形をらせん状に加えていきます.最初の2つの正方形は1辺の長さが1で,そこに1辺の長さが2の正方形,引き続いて1辺の長さが3,5,8,13,21,・・・.すると,優美な対数らせんが現れてきますが,このらせんはほぼ黄金比

  φ=(1+√5)/2=1.618034・・・

で外に広がることになります.

 今回のコラムでは,漸化式

  an=an-2+an-3

で表される数列(パドヴァン数列)を取り上げます.

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【2】パドヴァン数列

 フィボナッチ数列では正方形をらせん状に並べましたが,ここでは正三角形をらせん状に並べてみましょう.最初の3つの正三角形は1辺の長さを1,次の2つは1辺の長さが2で,そのあとは3,4,5,7,9,12,16,21,・・・.このようにしてもおおよそ対数らせんを描きます.

 数列

  1,1,1,2,2,3,4,5,7,9,12,16,21,・・・

は直前の1項を除いたその前の2項を加えたものです.漸化式は

  Pn=Pn-2+Pn-3   (P0=P1=P2=1)

で表されます.この各項が2つ前と3つ前の項の和で与えられる数列は,イタリアの建築家パドヴァンにちなんでパドヴァン数列と呼ばれています.

 パドヴァン数列の特性方程式

  x^3−x−1=0

の唯一の実数解より,パドヴァン数列の連続する2項の比はプラスチック比

  p=1/3{3√(27/2−3√69/2)+3√(1/2+√69/18)}=1.324718・・・

に次第に近づくことになります.pがφよりも小さいことより,パドヴァン数列はフィボナッチ数列に較べてゆっくりと増加することになります.

  p^5−p^3−p^2=0

  p^4−p^2−p^1=0

より

  p^5−p^4−p^3−p^1=p^5−p^4−1

ですから,3次方程式p^3−p−1=0の解はこの5次方程式も満たすことがわかります.あるいは,因数分解

  p^5−p^4−1=(p^3−p−1)(p^2−p+1)

でもよいのですが,このことから

  Pn=Pn-1+Pn-5

の関係が成り立つこともわかります.

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