■√2の近似(その9)
(1+x)^n=1+nx+n(n-1)/2・x^2+n(n-1)(n-2)/6・x^3+・・・
n=1/2とおくと
(1+x)^1/2=1+x/2-1/8・x^2+1/16・x^3-5/128・x^4+・・・
1>>xのとき、
(1+x)^n〜1+nx
n=1/2,x→-xとおくと、
(1-x)^1/2〜1-1/2・x
(a^2-b)^1/2={a^2(1-b/a^2)}^1/2〜a(1-1/2・b/a^2)=a-1/2・b/a
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古代インドの「シュルバスートラ」では、√2を
√2〜1+1/3+1/3・4-1/3・4・34=17/12-1/12・34
のように近似している。
これは前述の近似公式において,a=17/12,b=1/144とおけば
√2=((17/12)^2-1/144)^1/2〜17/12-1/(2・17/12・144)=17/12-1/12・34
となって、一致する。インド人がこの公式用いたかどうかはわからないが、非常に興味深い一致であろう
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√2〜(17/12)自体、最良近似になっている
√2〜17/12-1/12・34=(17・34-1)/12・34=577/408・・・最良近似と一致
12,408はペル数である
最良近似は239/169→577/408 である。
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aがx^2=0の解ならばa=2/aが成り立ちます.aがいくらか不正確,たとえば過小評価であるならば,2/aは過大評価となります.過小評価と過大評価の中間(算術平均)はaと2/aのいずれよりもよい評価となります.かくして算術平均:
an+1=1/2(an+2/an)
によって定義される数列は√(2)に収束することになります(ヘロンのアルゴリズム).
ヘロンのアルゴリズムは,算術平均・幾何平均の不等式
(a+b)/2≧√ab
において,b=2/aの場合となっています.
1/2(a+2/a)≧√2
また,この場合,2の平方根をニュートン法x:=x-f(x)/f'(x)で求めるのと同じことになります.ニュートン法の幾何学的意味は「初期値x0における関数の勾配を求めて,接線とx軸の交点を求める.この点において,同様の作業を行うとxは順次解に近づいていく.」と解釈されます.
a=1を1/2(a+2/a)に代入すると3/2が得られますが,これを繰り返すと
1→3/2→17/12(1つ飛び越え)→577/408(3つ飛び越え)→665857/470832(7つ飛び越え)→(15飛び越え)→・・・
1,3/2,17/12,577/408,665857/470832,・・・
はヘロン数列と呼ばれます.
また,a=p/qから始めることにすると
1/2(a+2/a)=(p^2+2q^2)/2pq
p/q→(p^2+2q^2)/2pq
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