■√2の近似(その8)

(1+x)^n=1+nx+n(n-1)/2・x^2+n(n-1)(n-2)/6・x^3+・・・

1>>xのとき、

(1+x)^n〜1+nx

n=1/2,x→-xとおくと、

(1-x)^1/2〜1-1/2・x

(a^2-b)^1/2={a^2(1-b/a^2)}^1/2〜a(1-1/2・b/a^2)=a-1/2・b/a

===================================

古代インドの「シュルバスートラ」では、√2を

√2〜1+1/3+1/3・4-1/3・4・34=17/12-1/12・34

のように近似している。

これは前述の近似公式において,a=17/12,b=1/144とおけば

√2=((17/12)^2-1/144)^1/2〜17/12-1/(2・17/12・144)=17/12-1/12・34 となって、一致する。インド人がこの公式用いたかどうかはわからないが、非常に興味深い一致であろう

===================================

√2〜(17/12)自体、最良近似になっている

√2〜17/12-1/12・34=(17・34-1)/12・34=577/408・・・最良近似と一致

12,408はペル数である

最良近似は239/169→577/408 である。

===================================

 aがx^2=0の解ならばa=2/aが成り立ちます.aがいくらか不正確,たとえば過小評価であるならば,2/aは過大評価となります.過小評価と過大評価の中間(算術平均)はaと2/aのいずれよりもよい評価となります.かくして算術平均:

  an+1=1/2(an+2/an)

によって定義される数列は√(2)に収束することになります(ヘロンのアルゴリズム).

 ヘロンのアルゴリズムは,算術平均・幾何平均の不等式

  (a+b)/2≧√ab

において,b=2/aの場合となっています.

  1/2(a+2/a)≧√2

 また,この場合,2の平方根をニュートン法x:=x-f(x)/f'(x)で求めるのと同じことになります.ニュートン法の幾何学的意味は「初期値x0における関数の勾配を求めて,接線とx軸の交点を求める.この点において,同様の作業を行うとxは順次解に近づいていく.」と解釈されます.

 a=1を1/2(a+2/a)に代入すると3/2が得られますが,これを繰り返すと

  1→3/2→17/12(1つ飛び越え)→577/408(3つ飛び越え)→665857/470832(7つ飛び越え)→(15飛び越え)→・・・

  1,3/2,17/12,577/408,665857/470832,・・・

はヘロン数列と呼ばれます.

 また,a=p/qから始めることにすると

  1/2(a+2/a)=(p^2+2q^2)/2pq

  p/q→(p^2+2q^2)/2pq

===================================